相次ぐ乱射に銃規制「今度こそ」 米国で法律成立へ

【ワシントン=渡辺浩生】米上院で23日、連邦銃規制法案が可決された。大勢の命を奪う銃乱射事件が後を絶たない中、「今度こそ行動を」という世論に押され、超党派で合意した意義は大きい。ただ、抜本的な対策には程遠く、銃所持の制限は自由の侵害だとする保守層の主張は根強い。23日には連邦最高裁がニューヨーク州の銃規制法に違憲判決を下しており、秋の中間選挙に向けて銃規制をめぐる推進派と反対派のせめぎ合いが続きそうだ。

「28年間の不作為の末、議会超党派が全米の家族の叫びを聞き入れ団結した」(バイデン大統領)

過去の連邦レベルの銃規制強化を遡(さかのぼ)ると、1981年のレーガン大統領の暗殺未遂事件で重傷を負った報道官の名前を冠し、銃購入時の身元調査を定めた「ブレイディ法」が93年に成立。94年には殺傷力の高い半自動小銃の販売を禁じる法律も成立したが、10年後に失効した。保守層の強い州ほど憲法修正第2条(銃を保有・携行する権利)を個人の自由の象徴と神聖視し、規制強化を阻んできた。

民間調査機関によると、今年の銃犯罪による死者はすでに約2万900人。人口10万人当たりの銃殺人率は4・12人と先進諸国で抜きんでる。先月テキサス州ユバルディで小学児童ら21人が射殺された事件を機に議会は重い腰を上げた。

2012年に小学児童ら27人死亡の銃乱射事件が起きたコネティカット州選出の民主党議員が超党派協議を主導した。殺傷力が高い銃の購入最低年齢の引き上げは、共和党の賛同が得られないとして排除。共和党が推す学校の治安対策強化を柱に、身元調査の強化を抱き合わせた。犯罪歴や精神疾患の治療歴がある若者、交際相手への暴力で前歴のある者の銃入手を困難にした。

上院共和党のマコネル院内総務は「米国の自由を損なわずに学校の子供を安全にする」と評価。引退を控えた議員や26年まで選挙がない議員を中心に賛成に回った。法案通過の可能性を最優先に妥協にこぎつけた格好だ。

ただ、ニューヨーク州の銃規制法について連邦最高裁が23日に出した違憲判決は、銃規制強化の前途に影を落としそうだ。米国の銃規制は各州独自の法や制度に多くを委ねており、全米ライフル協会(NRA)の関連団体などが各州で違憲訴訟を起こす可能性がある。

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