ポトマック通信 ベテランの日に想う

11月11日のベテランズデー(退役軍人の日)、ポトマック川沿いのアーリントン国立墓地を訪ねた。

独立戦争からイラク・アフガン戦争まで約40万人を埋葬。白い墓石には兵士の名前と従軍した戦争、亡くなった年月日が刻まれている。米国の歴史が一緒に緑の丘陵地に眠っていた。

今年はアフガニスタンから米軍が撤収して最初のベテランズデー。バイデン大統領が出席した式典の間、高齢の退役軍人、復員して間もない若者、遺族らが静かに目を伏せていた。

その一人、ニュージャージー州から来た元小学校教諭のボナーニさん(71)と話した。父親が第二次大戦のノルマンディー上陸作戦に参戦、ベルリン陥落まで戦い抜いた。

「おやじは戦争の話は一切しなかった。死んでから、戦地から送り続けた手紙がいっぱい見つかり、どう戦ったか知った」

ベトナム戦争後に徴兵制がなくなり、ボナーニさん自身も従軍経験はない。「だからこの日はここに来て、ベテランたちに感謝の気持ちを表したいんだ」

イラク・アフガン復員兵士の自殺が後を絶たない。この日の米紙は「民主主義を守るコストが一握りの国民に任されている現実を認識すべきだ」と説いた。敬意と負い目が混在した米国民のベテランに寄せる思いに触れた一日だった。(渡辺浩生)

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