プラ汚染条約、生産制限が焦点=合意目指し今月から国際会議

プラスチックによる汚染を規制する新たな条約作りに向け、今月25日から12月1日までの日程で、韓国・釜山で政府間交渉委員会の最終会合が開催される。交渉委は2022年の国連環境総会の決議に基づき、年内合意を目指す。環境に流出するプラごみを減らすため、プラ生産に制限をかけるかどうかが最大の焦点だ。
生産制限を巡っては、各国の立場に違いが見られる。欧州連合(EU)のほか、汚染の影響を受けやすい島しょ国などは、より厳しい規制に積極的。これに対して、中国や産油国などは反対している。経済への影響を懸念しているとみられる。
制限の手法としては、EUなどはプラ生産に関する世界一律の目標を設定し、その達成に向けて各国が対策に当たる案を示している。これに対し、日本は一律の生産制限によらず削減を進めることを提案。リサイクルしやすいプラ製品の設計推進や、ごみを環境に流出させない廃棄物管理を含めた一体的な取り組みが、効果的だと訴えている。
交渉委のルイス・バジャス議長から公表された条約案のたたき台では、生産制限について踏み込んだ記述はなく、最終会合での交渉に決着が委ねられた。プラ汚染対策に取り組む途上国などをサポートするための資金支援も各国間で意見の隔たりがあり、具体的な案は盛り込まれなかった。
一方、たたき台では、廃棄物管理に関して、プラ生産者が廃棄・リサイクル段階まで責任を負う「拡大生産者責任」の考え方を採り入れ、リサイクル率の向上などを目指すことを明記。また、プラ汚染対策をまとめた国内計画の作成を各国に求める方針が示された。

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