イスラエル首相、国連部隊の撤退要求=レバノンで相次ぐ要員負傷

【カイロ時事】イスラエルのネタニヤフ首相は13日、ビデオ演説で、レバノン南部のイスラム教シーア派組織ヒズボラとの戦闘地域から、国連レバノン暫定軍(UNIFIL)を撤退させるようグテレス国連事務総長に求めた。イスラエル軍が先月末にレバノンに地上侵攻して以来、UNIFIL要員の負傷が相次ぎ、イスラエルへの国際社会の批判が高まっていた。
ネタニヤフ氏は、何度も撤退を求めてきたが拒否されたと主張。結果として国連はヒズボラに「人間の盾」を提供していると持論を展開した。UNIFILは1978年に設立された国連平和維持活動(PKO)で、レバノン南部でイスラエルとの停戦監視を担っている。
UNIFILは12日、レバノン南部ナクラで11日夜に要員1人が銃撃され負傷したと発表した。UNIFIL拠点へのイスラエル軍の砲撃などによる負傷者はこれで5人となった。
米国防総省によると、オースティン国防長官が12日、イスラエルのガラント国防相と電話会談し、UNIFILの被害に深い懸念を表明。「軍事作戦から外交路線へと方針転換する必要性がある」と強調した。ガラント氏は「UNIFIL部隊への被害を避けるための措置を取り続ける」と応じたという。
イスラエル軍は13日、過去24時間で、ヒズボラに関連するレバノンの標的約200カ所に空爆を加えたと発表した。レバノンの国営メディアによると、イスラエル軍は南部のヒズボラ支配地域で市場やモスク(イスラム礼拝所)を空爆した。
一方、ロイター通信は13日、パレスチナ自治区ガザ住民の話として、イスラエル軍の戦車が北部ガザ市北端に到達したと報じた。国連によると、軍は北部地域に40万人以上を対象とした避難勧告を出している。しかし、軍の攻撃で住民の多くが身動きを取れなくなっているとも伝えられている。


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