アフリカから広がるエムポックス、日本ワクチンに注目と期待

エムポックスに感染した2歳半の女の子。地元の布「キテンゲ」にくるまれて震えていた=2024年9月25日、キンシャサ、今泉奏撮影

 アフリカを中心に感染が広がるエムポックス(サル痘)への対応として、日本のワクチンに注目が集まっている。子どもへの接種は、世界でも日本製しか対応できないためだ。

 コンゴ民主共和国の首都キンシャサにある病院のエムポックス病棟。9月末に訪ねると、乳児から11歳までの子どもたち多数がベッドに横たわっていた。全身の発疹に苦しむインガ・ロコレさん(11)は「かゆくて痛くて耐えられない」と話した。

 世界保健機関(WHO)は8月半ば、感染拡大を受け「緊急事態」を宣言した。WHOによると、今年に入ってコンゴでは、エムポックス(感染疑いを含む)で計838人が死亡。ユニセフ(国連児童基金)によると、8割以上が子どもだ。

 現地で調査をする仏ボルドー大・公衆衛生研究所の平井亜由子医師(感染症・疫学)は「子どもは栄養失調やマラリアとの重複感染で重症化しやすい。現地の医師らは日本のワクチンを待ち望んでいる」と説明する。

 9月18日、日本の外務省とコンゴ政府の間でワクチン支援の取り決めがなされた。ユニセフ現地事務所のプロスパー・ジギムデ医師は「感染症が地球規模の問題となる今、ここでエムポックスを食い止めることは日本人にとっても重要だ」と訴える。(キンシャサ=今泉奏)

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