6月の蘇州の事件、いまだ背景の説明なく 上海の総領事が市長と会談

中国東部・江蘇省蘇州市で24日午後に日本人学校のスクールバスが刃物を持った男に襲われた現場のバス停=2024年6月25日午前、小早川遥平撮影

 在上海日本総領事館の岡田勝総領事は11日、6月に日本人学校の送迎バスが襲われる事件があった江蘇省蘇州市を訪れ、同市ナンバー2の呉慶文市長と会談した。総領事館によると、邦人の安全確保と捜査状況の共有について合意した一方、蘇州市側から捜査の進展に関する具体的な説明はなかったという。

 岡田氏は9月の着任後、初めて蘇州を訪問し、日本人学校などを視察。呉氏との会談では、同月に広東省深圳市でも日本人学校の男児が刺殺される事件が起きたことに触れ、「邦人の安全確保は経済を含む日中の交流の基礎である」と指摘した。

 総領事館によると、呉氏は捜査に進展があれば共有すると応じたが、日本側が繰り返し求めてきた容疑者の刑事手続きの状況や事件の背景についての説明はなく、「偶発的な事件と考えている」という従来の見解に終始したという。

 事件は6月24日の下校時、送迎バスがバス停に着いた際に起きた。迎えに来ていた日本人の母子が刃物を持った男に切りつけられて負傷し、2人をかばおうとしたとみられるバスの案内係の中国人女性が死亡した。日本人学校の関係者が襲われる事件が続いて起きる中、中国当局が明らかにしていない犯行の動機が焦点になっている。(上海=小早川遥平)

ジャンルで探す