ASEAN会合、熱を帯びた中国批判 異例発言で先頭に立った大統領

ラオス・ビエンチャンで10月10日、東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国の首脳会議で、中国の李強(リーチアン)首相(手前)に目をやるフィリピンのマルコス大統領(中央奥)=ロイター

 東南アジア諸国連合(ASEAN)と日米中ロなどが参加した東アジア首脳会議(EAS)が11日、ラオスの首都ビエンチャンで開かれ、日米フィリピンなどと中国が対立する南シナ海問題について議論した。ASEANは紛争回避のための行動規範(COC)の策定を目指すが、各国の利害が複雑に絡み、実現に至っていない。

 11日に閉幕したASEAN首脳会議と関連会議の会期中、南シナ海に関する議論の先頭に立ったのは、スプラトリー(南沙)諸島などで中国と激しく領有権を争うフィリピンのマルコス大統領だった。

 「我々は嫌がらせや脅迫を受けている」

 「中国は、国際秩序を無視し続けている」

 マルコス氏は10日のASEANと中国の会合で、8月にサビナ礁近海でフィリピン船が中国公船との衝突で破損した事件を挙げ、中国を名指しで痛烈に批判。経済や政治面での協力を話し合うのが通例の同会合では、異例の発言だった。

 石破茂首相ら18カ国の首脳らが出席した11日のEASでもあらためて中国を批判し、「再発防止のための緊急の取り組みが必要だ」と訴えた。米国のブリンケン国務長官も「中国の違法な行動がますます危険さを増している」と続けた。

 批判を浴びた中国は反論。中国外務省によると、李強(リーチアン)首相はEASで地域の繁栄は南シナ海の平和や安定と「切り離せない」とした上で、「国際法の順守に努め、当事国との意見の違いは話し合いで対処している」と述べ、「域外国」とする米国の干渉を牽制(けんせい)した。

■中国の狙いと、絡み合う各国の利害

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