ノーベル文学賞に韓国の作家ハン・ガンさん 文学賞の韓国人受賞は初

ソウルで取材に応じた作家のハン・ガンさん=2024年4月30日、チェ・スンド氏撮影

 スウェーデン・アカデミーは10日、2024年のノーベル文学賞を、韓国の作家ハン・ガンさん(53)に授与すると発表した。文学賞が韓国人に決まるのは初めて。

 スウェーデン・アカデミーは受賞の理由について、「作品のなかで、過去のトラウマや、目には見えない一連の縛りと向き合い、人間の命のもろさを浮き彫りにした」と説明。「彼女は肉体と精神のつながり、生ける者と死者のつながりに対して独特の意識を持っており、詩的かつ実験的な文体で、現代の散文における革新者となった」とたたえた。

 ハン・ガンさんは受賞の知らせを受けた際、息子と夕食を終えたばかりで、「ふつうの1日」を過ごしていたという。受賞について、「まったく予期していなかったようだ」といい、スウェーデン・アカデミーとは12月の授賞式について話したという。

 文学賞はアルフレッド・ノーベルの遺言に基づき、「文学界において、理想に近づくような、最も優れた作品を残した人物」に贈られる。

 1901年から昨年までに120人が受賞した。選考するのはスウェーデン・アカデミーで、トーマス・マンやヘミングウェー、「百年の孤独」のガブリエル・ガルシア・マルケスなど、名だたる作家に贈られてきた。これまでの日本人受賞者は、1968年の川端康成と94年の大江健三郎の2人。2017年に長崎生まれの英作家カズオ・イシグロ氏が受賞した。

 今年の賞金は1100万スウェーデンクローナ(約1億5700万円)。授賞式はノーベルの命日にあたる12月10日、ストックホルムで開かれる。(ロンドン=藤原学思)

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