地図アプリが狂った? 軍事衝突のイスラエル、与えた生活への影響は

GPS信号の妨害で地図アプリ上ではレバノンの首都ベイルートやヨルダンの首都アンマン近郊の空港が現在地として表示されるようになったイスラエル北部の都市・ハイファ=2024年9月5日、河野光汰撮影

 イスラエルが1日、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラが拠点を置くレバノンへの地上侵攻に踏み切るなど、地域情勢の緊張はますます高まっている。こうしたなか、イスラエル軍が行っているヒズボラの無人機(ドローン)攻撃への対策が市民生活に思わぬ影響を及ぼしている。

 ヒズボラはイスラエルとイスラム組織ハマスの軍事衝突が起きた昨年10月7日直後、「ガザとの連帯」を表明し、イスラエル北部への攻撃を開始した。ヒズボラの攻撃の多くは、ミサイルと無人機による攻撃だ。ドローンは内蔵されたGPSで離陸位置や標的を把握する。これを無力化するため、イスラエル軍はGPS信号の妨害を続けている。

 イスラエル軍は昨秋、GPSについて「作戦上の必要性に応じ、戦闘地域で制限されている」と発表。その結果、北部の住民はGPS機能のついた地図アプリの使用が大幅に影響を受けている。

 北部ハイファの約10人に尋ねると、地図アプリ上ではいずれも、レバノンの首都ベイルートか東隣ヨルダンの首都アンマン近郊の空港が現在地として表示されるようになったと答えた。

 ハイファに住む女子高校生(15)は「アプリを開くとベイルートの空港にいることになっている。学校に行くバスの運行状況が全くわからない」と困惑する。

 地図アプリのほか、GPSの位置情報を元に現在地から一定以内の距離にいる人が表示される仕組みのマッチングアプリにも影響が出ている。(ハイファ=河野光汰)

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