南北基本合意書「北朝鮮が破棄する可能性」 韓国統一省高官が見通し

平壌で2024年9月9日、建国76年を迎えて、今後の国家事業の方向に関する重要演説を行う金正恩総書記。朝鮮中央通信が配信した=朝鮮通信

 韓国統一省高官は2日、北朝鮮が7日に招集する最高人民会議(国会)で、南北関係の原則を定めた南北基本合意書を「破棄する可能性がある」との見通しを示した。

 合意書は1991年に採択され、韓国と北朝鮮について「統一を志向する過程で暫定的に形成されている特殊な関係」と規定。双方の体制の尊重や武力侵略の禁止などが盛り込まれている。

 北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)総書記は昨年末以降、韓国との関係を「もはや同族関係ではなく、敵対的な国家関係」として、平和統一を目指す原則を転換。統一省高官は、金氏が憲法を改正し、平和統一などの文言を削除する方針を示していることに合わせ、合意書が破棄される可能性があるとした。

 高官はまた、金氏が海上の軍事境界線にあたる北方限界線(NLL)を無効とし、「海上国境線」を一方的に主張していることから、「領土条項の新設などで、朝鮮半島の緊張を高めると予想される」とも指摘した。(ソウル=太田成美)

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