対馬の仏像、韓国の寺「返還に反対しない」 事前の「法要」を条件に

長崎県指定の有形文化財「観世音菩薩坐像」=対馬市教育委員会提供

 2012年に長崎県対馬市の観音寺から盗まれ、韓国に持ち込まれた仏像をめぐり、所有権を主張する韓国・忠清南道の浮石(プソク)寺が、観音寺の所有権を認めた韓国大法院(最高裁)判決を踏まえ、日本への返還に反対しない考えを25日までに日本側に伝えた。返還前に寺で100日間の法要を行うことが条件という。

 仏像は長崎県の指定有形文化財「観世音菩薩坐像(ぼさつざぞう)」で、13年に韓国の窃盗グループが検挙された。浮石寺は「14世紀に倭寇(わこう)に略奪された」と主張。大法院は昨年10月、倭寇による略奪を認める一方、長期にわたって占有してきた観音寺の所有権を認めた控訴審判決を支持した。

 浮石寺は「不法な略奪を合法化した」と判決に反発していたが、最近になって、地域住民に仏像を見る機会を提供する法要の実施を条件に、返還に反対しないとの書簡を観音寺に送ったという。

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