70年不変の中国の定年年齢、引き上げへ 男性63歳・女性55歳

上海市内の高齢者サービスセンター=2018年2月、宮嶋加菜子撮影

 中国の全国人民代表大会(全人代、国会に当たる)常務委員会は13日、働く人の退職年齢を今後、15年間をかけて3~5年引き上げることを決めた。国営新華社通信が報じた。70年以上変わってこなかった中国の働く期間が、高齢化による労働人口の減少に促される形で転換点を迎えた。ただ、社会の反発も予想される中で、慎重さも目立っている。

 13日に可決された方針は、現在男性60歳、女性50歳(女性幹部は55歳)となっている中国の定年について、2025年から徐々に延長を始め、39年までに男性63歳、女性55歳(女性幹部は58歳)とする。

 これに伴い、年金を受け取るために最低限、年金保険料を支払う年数は現行の15年から徐々に引き上げて20年にする。一方で、この年限の支払いを終えるなどの条件を満たした場合は定年より早く退職することができる制度も設ける。

 共産党は7月に開いた重要会議「中央委員会第3回全体会議(3中全会)」後の公表文で、「働く人の自らの希望に基づき、弾力的な運営を原則とする」「穏当に進める」と慎重な表現を用いながらも、定年引き上げに踏み切る方針を示していた。

 中国の定年は1950年代初期に定められて以降70年以上にわたって原則として変わっておらず、国際的に見ても若い段階で退職してきた。

■迫る労働人口の急減、焦る政権

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