米最高裁、鎮痛剤販売の経営者を免責する和解認めず オピオイド中毒

パーデューファーマが製造した鎮痛剤オキシコンチン=ロイター

 米国で蔓延(まんえん)している医療用麻薬オピオイドの中毒問題で、連邦最高裁は27日、鎮痛剤の製造・販売大手だったパーデューファーマの破産に関する和解案を認めない判断を下した。和解案では、同社のオーナー一族のサックラー家が被害者補償などのために最大約60億ドル(約9600億円)を支払う代わり、将来の訴訟から免責されていたが、最高裁は「破産法ではそのような免責は認められない」とした。

 判決によると、1999~2019年に、米国では医療用麻薬の過剰摂取により、25万人近くが死亡。米政府の推計で年間530億ドルから720億ドルの損害が出るなど、大きな社会問題となっている。和解案では被害者はそれぞれ3500~4万8千ドルを受け取れるはずだったが、それがなくなる。和解交渉が再開しても、合意に至らない可能性もある。

 今回の最高裁判決は9人の判事のうち、5人による多数意見だった。残る4人の反対意見は「判決は法律解釈を誤り、オピオイド被害者とその家族にとって壊滅的だ」と厳しく批判した。

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