米政府、石破氏に「同盟強化」期待 発言には警戒感、摩擦の懸念も

米国防総省で会見するシン副報道官=2024年9月27日、清宮涼撮影

 27日の自民党総裁選で勝利した石破茂・新総裁(67)に対し、米政府は日米同盟の強化に取り組むことを期待するコメントを出した。石破氏は日米地位協定の見直しなどを提案しており、米側には一定の警戒感がある。今後、日米関係の摩擦の種となる可能性もある。

 米国務省の報道担当者は取材に、石破氏に祝意を示したうえで「日米同盟をさらに強化し、自由で開かれたインド太平洋という共通のビジョンを前進させるために協力していくことを楽しみにしている」と述べた。

■石破氏の「アジア版NATO」構想に米国は

 バイデン大統領と岸田文雄首相のもと、日米は安全保障上の協力を深めてきた。米側が日本側に期待するのは、これまでの外交の方向性の継続だ。石破氏は日米地位協定の見直しなどの独自案に言及してきたが、米側はまず石破氏の発言の真意を見極めるとみられる。

 石破氏は、アジア版の北大西洋条約機構(NATO)の創設も持論としてきた。だが、米側は「集団安全保障や正式な機関について話すのは時期尚早だ」(クリテンブリンク国務次官補)として、否定的な考えを示している。

 米国防総省のシン副報道官は27日の会見で、7月に開かれた日米の外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)で自衛隊と在日米軍の指揮統制の連携強化などに向けて合意したことを念頭に、「日本の新政権と協力をさらに深め、成果を積み重ねていくことを楽しみにしている」と語った。石破氏が日米地位協定の見直しに言及していることについてはコメントを避けた。(ワシントン=清宮涼)

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