「コロナ退治にはウォッカだ」と言い放つ「欧州最後の独裁者」

(写真:読売新聞)

[New門]は、旬のニュースを記者が解き明かすコーナーです。今回のテーマは「ベラルーシ」。

 旧ソ連構成国のベラルーシを長期支配するアレクサンドル・ルカシェンコ大統領(66)は「欧州最後の独裁者」の異名を取る。6選を果たしたとする8月の大統領選の開票結果に抗議する大規模デモは1か月以上続く。最大のピンチを切り抜けられるのか。

■ベラルーシ専制26年、大統領選結果に抗議デモ

 辞任圧力にさらされるルカシェンコ氏は9月上旬のインタビューで、「今の時代にあった憲法改正案が間もなく私のところに届くことになっている。学生や労働団体、地方の代表とも議論が必要だろう」と述べ、新憲法制定に意欲を示した。

 続投の切り札に憲法を持ち出すのは、いかにもルカシェンコ氏らしい。1994年の初当選以来、憲法を自らの権力に正当性を与える道具にしてきたからだ。大統領に権限を集中する憲法改正案を96年に、大統領の任期制限を撤廃する改憲案を2004年にそれぞれ国民投票で採択させた。

 統治は独裁そのものだ。周辺をイエスマンで固める。意に沿わなければ敵とみなし、投獄や国外追放で排除する。兵器売却などの経済利権は独占する。

 大統領選も、2回目の01年以降は大規模な不正を重ねてきたといわれる。「選挙結果は集計に基づいていない。ルカシェンコ氏が決める」と在欧州の専門家は言い切る。

 専制のご多分に漏れず、アメを配る大衆迎合主義者の面もある。旧ソ連の近隣国が急いだ市場経済化と距離を置き、国営企業中心の経済にこだわり、医療や教育の無料化を維持する。年金支給額の引き上げは大統領選前に行う恒例の政策だ。

 一風変わった言動も目立つ。デモの背景にはルカシェンコ氏が3月、新型コロナウイルスの「退治にはウォッカだ」などと述べたことがある。8月下旬には大統領官邸前でデモの警戒をしていた治安部隊を激励するため、愛人との間にもうけた三男(16)とともに、カラシニコフ銃に防弾服の姿で現れた。

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