北朝鮮「チュチェ年号」の使用を中止…金正恩氏の神格化進行か
北朝鮮では、年を記す際に西暦の前にチュチェ(主体)年号と呼ばれる独自の年号を併記していたが、これが急に姿を消した。
北朝鮮は1997年7月8日、故金日成主席の逝去から3年を迎えた日に「金日成同志の革命生涯と不滅の業績を長く輝かせることについて」というタイトルの共同決定書で、金日成氏が生まれた1912年を元年とするチュチェ年号の使用と、太陽節(金日成氏の生誕記念日)の制定を定めた。
例えば、今年2024年は次のように表記されていた。
チュチェ113(2024)年
ところが、今月12日から北朝鮮国営メディアからこのチュチェ年号が消えた。
国営の朝鮮中央通信が平日に毎日配信している「新聞概観」の記事を見ると、12日まではチュチェ年号が併記されているが、14日からは消えているのがわかる。ただし、システム上の理由からか、各記事の最後に記載された配信日には、依然としてチュチェ年号が使われている。
金正恩総書記の妹、金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長が、韓国無人機飛来に関して出した談話の記事からは、チュチェ年号が併記されなくなった。一方、朝鮮労働党機関紙・労働新聞では、11日に出された外務省の重大声明が、チュチェ年号が使われた最後の記事で、過去記事を除きいっさい、使われていない。
(参考記事:「惨事は必ず起きる」金与正氏、韓国への報復を警告)
北朝鮮で神聖不可侵の存在であった故金日成氏と故金正日総書記だが、今年に入ってからは太陽節の行事が縮小されたり、各地にある永生塔が撤去されたりするなど、金正恩氏の祖父と父の存在を薄める動きが起きている。これは、金正恩氏の神格化作業の一環と見られている。
10/17 18:15
デイリーNKジャパン