北朝鮮軍のエリート将校ら「地下出版物」所持で逮捕

北朝鮮では、国の承認を得ていない書籍の出版はできない。しかし、実際には地下書籍が多く出回っている。

韓国や中国で出版された朝鮮語の書籍が密輸で持ち込まれ、印刷機やコピー機を所有している機関や企業で印刷されて、地下出版者として市場などで出回っているのだ。

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その中にはスキャナーを使って制作されたであろう電子書籍も含まれている。ファイル形式など詳細は不明だが、紙でも電子でも地下出版物の発行、販売、所有は違法行為だ。

朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の軍官(将校)4人が、そんな禁断の本を持っていたとして、軍の保衛部(秘密警察)に逮捕された。平壌のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

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朝鮮人民軍の軍事科学教育映画撮影所で先月下旬、軍保衛部の抜き打ちの検閲(検査)が行われた。その結果、撮影所第1室に所属する軍官4人が、韓国の電子書籍を所持していたとして逮捕された。

4人は、数十冊の韓国の電子書籍を保存したUSBメモリや外付けハードディスクをカバンや軍服の内ポケットに入れて持ち歩き、誰もいない夜勤のときに読んでいた。ところが、保衛部が軍に浸透させた情報員(スパイ)の知るところとなった。

報告を受けた保衛部は、情報員に4人を監視させ、読書しているところを確認させた上で逮捕に踏み切った。4人は軍保衛局に身柄を移され、取り調べを受けているとのことだ。

今回「読書事件」が起きた軍事科学教育映画撮影所は、軍に関するドキュメンタリー映画を制作する部署で、所属する軍人たちはエリートだ。先日、韓国の公共放送KBSは、思想教育、韓流取り締まりに関する北朝鮮で制作された映像を入手、公開したが、これを制作していたのが、この撮影所だ。

撮影所は、幹部や職員に対する強力な思想教育に取り掛かり、先月末には共同で思想闘争会議(吊し上げ)を開催した。

軍保衛局はその一方で、この「読書事件」の噂が広まらないようにかん口令を敷いている。

だが、職員の間では、韓国の電子書籍の出どころと中身について好奇心を抑えられない者が続出し、噂は撮影所全体に広がり、職員の家族を通じて平壌市内にまで広がってしまっている。

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口コミネットワークが発達している北朝鮮では、「ここだけの話」があっという間に全国的な話題になってしまう。人の口には戸が立てられないものだ。

(参考記事:金正男氏の「殺害情報」を広める「情報通の奥様」たち

2017年にマレーシアで起きた、金正恩総書記の異母兄の金正男(キム・ジョンナム)氏の暗殺事件については、当局は国民の間に広がらないように隠蔽を図ったものの、海外駐在の貿易関係者が家族に漏らし、それを聞いた妻たちが、近所の人に話したことで全国に広がってしまった。

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