「金正恩の秘密」話してしまったエンジニア８人を逮捕

北朝鮮の首都・平壌にあるコンピュータ関連企業の従業員がスパイ容疑で逮捕されたことがわかった。

平壌のデイリーNK内部情報筋によると、光復先端製品開発交流社のエンジニア8人が先月28日、国家保衛省（秘密警察）の国内反探局（スパイ摘発部署）に連行された。親やきょうだいも含めて今月初旬までに全員連行され、今に至るまで帰ってきていない。

この会社の詳細について情報筋は「外部と交流する機関」とだけ述べているが、一般的に「先端製品開発交流社」とは、ハードウェアやソフトウェアを開発・販売する企業だ。エンジニアたちが、かなりのエリートであることは言うまでもない。

容疑については明らかにされていないが、情報筋が接触した保衛員によると、夜勤のときに、禁止された海外の映像や書籍を見ていたことが直接的な逮捕の原因だという。

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だが、別の保衛員の話は少し異なる。彼らは海外の映像を見て、金正恩総書記の血筋についてああでもない、こうでもないと話を交わし「最高尊厳（金正恩氏）を冒涜する行為を行った」ことが大問題になったのだという。

社内で噂されているその発言とは、次のようなものだ。

「元帥様（金正恩氏）は『富士山血統』で、将軍様（故金正日総書記）の何番目の後妻の子なのかわからない」

「富士山血統」とは、日本由来の血筋が混じっていることを揶揄する言葉で、故金日成主席につながる「白頭血統」と相対するものだ。

この発言が他の従業員に聞かれた後に、8人はどこかに連れ去られた。現在、社内ではこの話をしないようかん口令が敷かれている。

金正恩氏の実母、故高容姫氏は大阪生まれの元在日朝鮮人だ。このことが広く知られると、政権の正統性を担保している「白頭血統」に傷がつきかねないため、高容姫氏のことが公に取り沙汰されることは、現在ではない。

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業務の性格上、海外とのやり取りが多い彼らの思想には問題があり、「機密流出や反国家活動に加担する可能性がある」と決めつけ、国家保衛省は緊急逮捕に踏み切ったようだ。

他の従業員は、累が及ぶことを恐れており、退職する者すら出ている。

「今回の事件後、交流社の全従業員が言動に非常に慎重になっている。誰も大っぴらに話さないが、皆、何が起こったのかすべて知っている」（情報筋）

8人とその家族全員が連れ去られたことを知った近隣住民も、「夜中に何の説明もなく、家族が一度に消えたのは初めてだ」「平壌市民といえども、決して安全ではない」と不安を隠せずにいる。

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「今回の事件で、平壌市民は国の監視と取り締まりがいかに強いかを再確認しており、恐怖感が増している。人々は『あそこ（国家保衛省）は死人の口すら割るところだ』『捕まれば、生まれてこのかたやってもいないことまで、すべてを吐き出させる』などと噂している」（情報筋）

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