狙われた美女応援団…北朝鮮で「水抜き」処刑

読売新聞は12月23日、北朝鮮の内部事情に詳しい消息筋からの情報として、次のように報じた。

「北朝鮮が新型コロナウイルス対策で約3年7か月間封鎖していた中国との国境を8月に開放して以降、帰国した外国派遣労働者や留学生、在外公館員など6000人以上に対し、 金正恩朝鮮労働党総書記の指示で厳しい思想調査や検閲を実施したことがわかった。韓国映画・ドラマを日常的にみていたことがわかり、銃殺刑に処されたケースもあったという」

北朝鮮ではこうした思想調査・検閲のことを「水抜き」作業と呼んでいる。

「水抜き」では、平壌市内の普通江(ポトンガン)ホテルや羊角島(ヤンガクド)ホテルなどで3~4日間かけて、「わが国(北朝鮮)も韓国に劣ってはいない」ということが教え込まれる。同時に、同僚や学友どうしで互いの行動を批判し合う「総和作業」も行われるという。

これは以前から、海外のスポーツ大会に派遣された「美女応援団」などに対しても行われていたもので、彼女たちも相当な苦しみを味わったようだ。

(参考記事:北朝鮮の女子高生が「骨と皮だけ」にされた禁断の行為

もっとも、平均的な北朝鮮国民ならば、こうした苦行にもある程度の耐性を持っている。

だが、今回帰国した人々の場合、海外での暮らしが長すぎた。もしかしたら「水抜き」作業に対し、極度の拒否反応を示しているかもしれない。

読売新聞の報道によれば、処刑されたのは貿易関係者で、所持していた電子機器から韓国の映像コンテンツの視聴が露見したのだという。こうしたことも、多くの北朝鮮国民は帰国前に徹底して対策を行うはずだが、長い海外暮らしで緊張感が薄れてしまったのかもしれない。

また、よしんば「水抜き」をクリアしても、しばらくは当局の厳しい監視下に置かれるはずだ。そこで「資本主義的な逸脱」と取られかねない行動をすれば、厳しいペナルティを与えらえる可能性が高い。

しかしそれにしても、まさか銃殺刑まで行われるとは思わなかった。このニュースが、まだ海外にいる北朝鮮の関係者に伝われば、恐れをなして外国への亡命に踏み切る人も出てくるのではないだろうか。

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