北朝鮮税関80人、巨額の不正蓄財摘発で一部は収容所送り

中朝貿易の7割が通過すると言われている北朝鮮の新義州(シニジュ)税関。トップの税関長以下すべての職員が国家保衛省(秘密警察)の所属だ。

先月20日、新義州税関の職員が多数逮捕される事件が起きたと、中国・丹東の貿易関係者が、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材に明らかにした。新義州以外の税関の職員も、先月末までに交代させられた。

20年以上にわたり対北朝鮮貿易に関わってきたというこの関係者も、今まで一度たりとも見たことがなく、理解し難いと語った人員の総入れ替え。現地の業者や在北朝鮮華僑の商人は、手続きの簡素化のために、職員にワイロを定期的に渡して良好な関係を築いてきたが、今回の件でパーになった上、新型コロナウイルスが収まったとしても、何が起こるかわからないと不安が広がっていた。

現地でいったい、何が起こっていたのか。その概要が明らかになりつつある。

「幹部の不正腐敗を根絶やしにするという元帥様(金正恩党委員長)のご意思のもとで、新義州で強力な検閲の対象となった」と語った平安北道(ピョンアンブクト)のデイリーNK内部情報筋。

それによると、新義州税関では先月24日、検閲が実施され、幹部から末端の職員に至るまで80人が摘発された。平壌から派遣された検閲団が事務所と自宅を捜索した結果、5万元(約77万9000円)から30万元(約467万円)の札束が発見された。

2018年の時点で新義州市内の84平米のマンションは2万ドル(約211万円)ほどで取引されていたことを考えると、不正蓄財の額の凄まじさがわかるだろう。

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摘発された税関職員の処分について、見せしめで収容所送りになるだろうと噂されている。一部の高位幹部には連座制が適用され、家族もろとも収容所行きになると予想されている。

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北朝鮮という国は利権の集合体と言っても過言ではない。その利権の源泉は、ありとあらゆる権限、許認可権だ。「許可してもらいたいならワイロを払え」「見逃してもらいたいならワイロを払え」と言った具合だ。

多くの公務員は決して裕福な暮らしをしているわけではなく、非現実的な額に抑えられている給料を補うために、ワイロを受け取って生活を成り立たせている。また、ワイロを支払う一般国民も、あたかもそれが「必要経費」であるかのように割り切っていると言われている。

しかし、国民の側に大きな不満があったのも事実だ。今回の大々的な取り締まりは、高位幹部を見せしめとすることで、世論の指示を得ようとするものだと言えよう。

効果テキメンのようで、新義州市民の間からは「国のために働くべきイルクンたちが、私腹を肥やしているのだから、罰を受けて当然だ」「以前の検閲は有耶無耶に終わってしまったが、今回はまともに捕まえた、スッキリする」などと歓迎の声が上がっているという。

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