裏金から55歳の愛人にお手当77億円 82歳スペイン前国王“亡命”の裏側

 8月17日、スペインの前国王フアン・カルロス1世(82)がアラブ首長国連邦(UAE)に“亡命”をしていたことが明らかとなった。

「今年に入ってスペインの捜査当局が、サウジアラビアの高速鉄道に関連して、巨額不正疑惑で前国王の捜査を開始していました。スペインの企業団が受注するにあたり、前国王は、スペイン企業やサウジの前国王などから実に100億円もの裏金を受け取り、そのうち77億円を愛人などに渡していたことが明らかになった。他にも隠し口座を使ったマネーロンダリング疑惑も報じられています」(現地ジャーナリスト)

ヨット選手だった前国王は五輪にも出場

 1975年、前国王は、独裁体制を敷いてきたフランシスコ・フランコ将軍の後継者として国王に就任。即位後は41年ぶりに総選挙を実施するなど、立憲君主制への移行をはかったことで評価を受けてきた。

「その象徴が、1981年2月に起きたクーデター未遂事件。国王親政をもとめる軍が議会を占拠し、当時の首相ら閣僚と議員350人が人質に取られた。この時、国王は親政を拒否し、全軍の指揮官に対してクーデターに賛同しないよう呼びかけたのです。結果、クーデターは不発。40年近くにわたり前国王の人気は不動となった」(同前)

 07年、ベネズエラのチャベス大統領とのやり取りも人気に拍車をかけた。

「チリで開かれた国際会議でスペインのサパテーロ首相と口論となったチャベスが、首相を一方的に罵倒。その場にいた前国王は『黙ったらどうかね』とチャベスを一喝し、その場を収めたのです。前国王は国民からの喝采を浴び、その時の音声は着メロでヒットするほどでした」(同前)

愛人は77億円について「私への感謝の気持ちと愛情」

 転落の要因は、「カネと女」に他ならない。

 スペインが経済危機に喘いでいた2012年、愛人(55)を伴い、ボツワナへゾウの狩猟旅行を敢行し、国民から批判を受けた。

「この愛人は2回の離婚歴があるシングルマザー。77億円を受け取った人物です。04年の狩猟旅行で知り合い、急速に仲を深めた。彼女によれば、09年に一度破局するも、交遊関係は継続。今回の金銭授受について『私への感謝の気持ちと愛情。彼は私とよりを戻したがっていた』と語っています」(同前)

 14年、前国王は娘のクリスティーナ王女と夫による汚職疑惑を受け、生前退位。今年3月には現国王のフェリペ6世が前国王への王室手当(年間約2000万円)を剥奪、自身も前国王からの相続財産を放棄した。

 刑事訴追の可能性があるため、前国王がスペインの地を踏むことは二度とないと見られている。

(近藤 奈香/週刊文春 2020年9月3日号)

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