一部移民はメキシコ在留選択 トランプ氏強硬対応

移民の集団が一時滞在するメキシコ市の競技場施設で、移民問題NPOのスタッフのすすめに従ってメキシコでの一時労働許可を申請する人々=2018年11月7日、メキシコ・メキシコ市

 中米諸国から米国を目指してメキシコを移動している移民の一部に、同国での残留を選択する動きが出ている。移民が一時滞在するメキシコ市内の施設では7日、メキシコでの労働許可を得ようと人々が列をつくった。米国への移民申請が難しいことを実際に知ったことや、トランプ米大統領の移民に対する強硬な態度も影響しているようだ。(メキシコ市=住井亨介)
 「米国に入るのは困難。国境に行っても移民申請手続きは数カ月から数年かかり、メキシコ側で待たされることになる」。
 移民の集団が滞在するメキシコ市内の競技場では7日、移民関係のNGOスタッフらが、米国への移民申請手続きが簡単ではないことを説明していた。
 友人とホンジュラスから米国を目指していたレオネル・ラゴスさん(23)は取るものも取りあえず移民の集団に加わり、身分を証明するものは持ち合わせていない。移民申請の説明を聞いて「そんなに難しいのか」と顔をゆがめた。
 弁護士でNGOスタッフのマルガリータ・フアレスさんによると、6日に説明を受けた移民約80人のほぼ全員が方針を切り替え、メキシコで1年間働ける労働許可を申請したという。
 まだ移民の集団の全体数からみればわずかだが、フアレスさんは「米国への移民申請は非常に困難になっている。最終的には移民の9割がメキシコに残るだろう」と予測する。
 米国を諦めてメキシコでの労働許可の申請したミゲル・カルテルスさん(29)は「米国へ行くのが目的だったが、話を聞いて残ることを決めた。トランプ氏の強硬な言動で、(米国へ行くことが)とても心配になった」と話した。
 一方、メキシコ政府は、移民に対して人道的対応をするとしながらも、自国での労働許可といった制度を積極的に広報していない。米国に向かう移民は約1万2千人とも推定され、すべての受け入れは事実上不可能。NGOスタッフのフアレスさんは「例年の移民の規模は1800人ほど。今回はそれを大きく上回っており、政府はナーバスになっているのではないか」と指摘している。

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