【激動・朝鮮半島】北朝鮮の強硬姿勢は“一時的揺さぶり”とトランプ政権は判断 

 【ワシントン=黒瀬悦成】北朝鮮が6月12日に予定される米朝首脳会談を中止する可能性に言及し、核実験場廃棄の式典に韓国メディアの取材を拒否するなど強硬姿勢をみせていることに関し、トランプ米政権は、交渉を有利に導くための一時的な揺さぶりと判断。引き続き「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」を北朝鮮に突きつけていく方針だ。
 トランプ政権は、朝鮮中央通信が16日に金桂寛第1外務次官の談話として米朝会談の中止やボルトン大統領補佐官への非難を伝えたことに関し、北朝鮮の他の主要官製メディアが同じ談話を伝えていないことを根拠に、一連の主張は金正恩体制の正式な立場ではなく、米国の出方を計る一種の「観測気球」との見方を強めているもようだ。
 また、談話がボルトン氏をやり玉に挙げ、同氏への嫌悪をあらわにしたことは、北朝鮮に圧力をかけようと対北強硬派の同氏を起用した政権の人材配置が奏功している表れともいえる。
 ボルトン氏は、かつて自身が国務次官時代に主導した「リビア方式」の核放棄に関し、北朝鮮にカダフィ体制の崩壊を想起させることを避けるため、今月に入って公の場でリビアの国名を出すのは控えていた。
 それでも反発してきた北朝鮮に対し、米政権は一定の配慮を示し、核放棄の見返りの一つとして、北朝鮮への大規模投資による経済発展を通じて「体制保証」を提供するという「トランプ大統領方式」(サンダース報道官)を打ち出していく構えだ。
 ただし、非核化の手続きをめぐっては、1991年に核開発を終了させ核拡散防止条約(NPT)に加盟した南アフリカのように、北朝鮮が核兵器を自主的に解体することは到底期待できない。
 一方、韓国の康京和外相は今月のポンペオ国務長官との会談で、旧ソ連が自国内に配備していた核兵器を手放したカザフスタンの事例に言及したとされる。
 しかし、核兵器の国外搬出と経済支援を同時並行で進めた「カザフスタン方式」は、北朝鮮に安易に見返りを提供して核放棄に追い込めなかった「歴代米政権の失敗」の再来となりかねず、トランプ政権には容認し難い。
 このためトランプ政権は、北朝鮮による核放棄を「不可逆的」な段階まで進めることを見返り提供の大前提とする、リビア方式を下敷きにした手法を堅持していく方針だ。

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