ドイツ二大政党、連立交渉入り合意 EU重視を強調 「政治空白」解消へ一歩

独政権協議の流れ

 【ベルリン=宮下日出男】ドイツのメルケル首相率いる保守系、キリスト教民主・社会同盟と第2党の中道左派、社会民主党は12日、政権樹立をめぐる予備交渉で主要政策の大枠に合意し、大連立継続に向けた正式交渉入りを目指すことで一致した。昨年9月の総選挙以降続く「政治空白」の解消へ一歩前進した。
 次のハードルは社民党が21日に開く臨時党大会。党内には大連立への反対論が根強く、この場で正式な連立交渉開始の可否を判断する。同党は最終的な連立協定も党員投票で問う方針。メルケル氏が次期政権を発足できるかは予断できず、再選挙となる可能性もまだ残っている。
 7日に始まった予備交渉は11日が期限だったが、難民問題や税制などをめぐって調整が難航。最終日の折衝は夜を徹して24時間以上続けられ、メルケル氏や社民党のシュルツ党首らトップで最終決着を図った。
 メルケル氏は12日の記者会見で「真剣で深い交渉を行った。今後10年のすばらしい国民生活の前提となる」と強調。シュルツ氏は「これが妥協であるのは明らかだが、すばらしい結果に到達した」と述べ、合意を評価した。
 両党がまとめた文書は欧州政策を最初の政策課題に挙げ、欧州連合(EU)重視を打ち出した。英離脱で影響が出るEU予算への貢献を表明し、ユーロ圏改革でも「フランスとの緊密な連携」を掲げ、仏側が提唱する共通予算を念頭に投資向け予算の将来的創設などへの理解を示した。
 ドイツの政治空白でEUの停滞が懸念されるなか、メルケル氏は「欧州の新たな出発」と強調。交渉で欧州政策を重視する姿勢を示していたシュルツ氏は「偉大な事業のためドイツの力を用いる決意」と述べた。
 両党はこのほか、主要争点となった難民問題で、同盟が求める年間受け入れ上限を維持する一方、社民党が主張した一部難民の家族呼び寄せ再開を一定の範囲内で図ることに合意。社民党が求めた高額所得者への増税や医療保険制度改革は見送られたが、年金政策などで社民党に配慮した。

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