iPhone 16の販売禁止措置を解除するためAppleがインドネシアへの投資提案を1000万ドルから1億ドルに引き上げ
インドネシア工業省は2024年10月25日、AppleによるiPhone 16の販売は法的に禁止されていると発表しました。これは、Appleのインドネシアに対する投資が不足していることが原因であり、Appleは販売禁止を解除するために総額1億ドル(約154億円)の投資を提案しています。
Apple Offers $100 Million to Undo Indonesia’s iPhone 16 Ban - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2024-11-19/apple-said-to-offer-100-million-to-undo-indonesia-iphone-16-ban
Apple to increase Indonesia investment to appeal iPhone 16 ban
https://appleinsider.com/articles/24/11/19/apple-to-increase-indonesia-investment-tenfold-to-appeal-iphone-16-ban
インドネシア工業省は10月5日の声明で、AppleがiPhone 16の販売に関する承認を取得していないため、iPhone 16の流通は違法であると発表しました。アグス・グミワン・カルタサスミタ工業大臣は「インドネシアで動作するiPhone 16があるなら、そのデバイスは違法だと考える必要があることを意味しているので、是非私たちに通報して下さい」と述べています。
インドネシアはスマートフォン販売の承認において、スマートフォン製造にかかる原材料や雇用の「国産化率(TKDN)」が最低40%であるという基準を定めています。AppleはiPhone 16を現地製造してTKDN基準を満たす代わりに、1兆7100億ルピア(約167億円)をインドネシアに投資して「Appleアカデミー」と呼ばれる研究開発施設を作ることを約束したとのこと。
ところが、Appleのこれまでの投資額は1兆5000億ルピア(約147億円)にとどまったため、投資額の不足を受けて工業省はAppleに対してiPhone 16の販売を認めませんでした。
インドネシアでiPhone 16の販売が違法に、Appleのインドネシアへの投資が不足しているからだと当局 - GIGAZINE
経済紙のBloombergは11月5日、AppleはインドネシアにおけるiPhone 16販売の許可を得るため、インドネシアのサプライヤーに対する1000万ドル(約15億4000万円)の投資を提案したと報じました。
しかし、この投資額ではiPhone 16の販売禁止を解除するのに十分ではなかったそうで、Appleは新たな提案でインドネシアへの投資額を10倍の1億ドルに増やしたと関係者は語っています。Bloombergに証言した匿名の関係者によると、工業省はAppleから投資額を増加させる提案を受けた後、インドネシア国内でのスマートフォンの研究開発に焦点を当てるように要求しているとのこと。なお、工業省は提案についての最終決定を下していないそうです。
また、Appleが最初に1000万ドルの追加投資を提案した後、工業省はAppleの上級幹部に対してカルタサスミタ大臣と面会するよう呼びかけたとのこと。しかし、上級幹部がジャカルタに向かったところ大臣は不在だったため、工業省の局長と面会したと報じられています。
一連の動きは、国内産業を後押しするために外国企業へ圧力をかけるインドネシア政府の試みの一環です。過去にはTikTokを運営するByteDanceに圧力をかけ、インドネシアのテクノロジー企業・GoToとの合弁事業に対する15億ドル(約2300億円)の投資を引き出すことに成功したとのこと。
Bloombergは、インドネシアには2億7800万人もの消費者がおり、その半数以上がテクノロジーに詳しい44歳未満の人々であることから、Appleなどのテクノロジー企業にとってインドネシアは重要な市場であると認めています。その上で、このような強硬手段をとることには、外国企業の進出や拠点の設立をためらわせるリスクもはらんでいると指摘しました。
なお、インドネシアが販売を禁止したのはiPhone 16だけでなく、同じ理由でGoogle Pixelの販売も禁止しています。
インドネシアがiPhone 16だけでなくGoogle Pixelの販売も禁止 - GIGAZINE
11/19 13:25
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