イギリスの大手紙・The GuardianはなぜX(旧Twitter)に記事を投稿しなくなったのか?


イギリスの大手一般紙であるThe Guardianが、「今後はX(旧Twitter)の公式アカウントに記事を投稿しない」と2024年11月13日に宣言し、そのような判断に至った理由について解説しています。
Why the Guardian is no longer posting on X | Social media | The Guardian
https://www.theguardian.com/media/2024/nov/13/why-the-guardian-is-no-longer-posting-on-x


Why the Guardian is no longer posting on X https://t.co/j4fRgzSYde— The Guardian (@guardian) November 13, 2024
The Guardianによると、ユーザーがX上でThe Guardianの記事を共有することは今後も可能で、ニュース報道の性質上、記事内にXのポストを埋め込むこともありえるとのこと。また、The Guardianの記者が個人のアカウントで記事を共有することは制限されません。ただし、The Guardianが運用している複数の公式アカウントが新たに記事をXに投稿することは今後ないそうです。
The Guardianは「Xに掲載することによるメリットがデメリットを上回ることはもはやないと考えており、そのリソースを他の場所でジャーナリズムを推し進めるのに使う方が有益だと判断しました」と語っています。
The Guardianは、X上でしばしば見られる「極右の陰謀論や人種差別を含む不穏な内容」を考慮した上で、記事投稿の中止をこれまで検討してきたことを明らかにし、「特に2024年のアメリカ大統領選挙では、Xが有害なメディアプラットフォームであり、その所有者であるイーロン・マスクがXの影響力を使って政治的言説を形作ることを可能にしていました」と述べました。


ソーシャルニュースサイトのHacker Newsでは、The Guardianがアメリカ大統領選挙に言及する背景にアメリカの政権移行プロジェクト「プロジェクト2025」をはじめとするドナルド・トランプ陣営とThe Guardianの対立があるという指摘もあります。プロジェクト2025はドナルド・トランプ次期政権の成立を目指すもので、人事や初期政策なども含まれていますが、The Guardianはこの内容を「移民を厳しく取り締まり、LGBTQ+と中絶の権利をはく奪し、環境保護を縮小するという悪名高い右翼的計画」と批判していました。
2024年11月12日、このプロジェクト2025に参加する右派シンクタンク「Heritage Foundation」の代表であるエヴィン・ロバーツ氏の著書発売イベントに、The Guardianは招待されたとのこと。そして、The Guardianがロバーツ氏にインタビューを行った時にささいな聞き間違いをしてしまったことをきっかけに、ロバーツ氏は激昂してThe Guardianに「地獄に落ちろ」と発言。取材を打ち切られたThe Guardianの記者たちは、すぐにイベント会場から追い出されてしまったそうです。
‘Go to hell’: how Project 2025 chief kicked the Guardian out of book event | US politics | The Guardian
https://www.theguardian.com/us-news/2024/nov/13/kevin-roberts-project-2025-book-events


The Guardianは「ソーシャルメディアはニュース組織にとって重要なツールとなり得るもので、新しい読者層にリーチするのに役立ちます。しかし、Xは現時点でほとんどその役割を果たしていません。私たちのジャーナリズムは誰でもtheguardian.comでアクセスできるようになっているので、皆さんにはそこで私たちの仕事をサポートしていただくことを望んでいます」と語りました。

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