歯磨き粉に含まれる顔料を用いた「食べても安全な半導体」


イタリア・ミラノ工科大学やセルビア・ノヴィサド大学などの研究者が、歯磨き粉にホワイトニング剤として含まれている「銅(II)フタロシアニン(CuPc)」を用いて、食べられる半導体を作り出しました。研究者等によると、1ボルト未満で動作する電解質ゲートトランジスタとして1年以上安定して機能する可能性があるとのことです。
A Fully Edible Transistor Based on a Toothpaste Pigment - Feltri - Advanced Science - Wiley Online Library
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/advs.202404658


Researchers build a fully edible transistor using tooth-whitening pigments found in toothpaste | Tom's Hardware
https://www.tomshardware.com/tech-industry/researchers-build-a-fully-edible-transistor-using-tooth-whitening-pigments-found-in-toothpaste
飲み込んで使用する医療機器としてはカプセル内視鏡がありますが、カメラしか搭載していないため、消化管内の写真や動画を撮影することはできますが、視覚的な検査以外はできないという欠点があります。
もし「食べても安全な半導体」があれば、カプセル内視鏡に酵素レベルや、その他の身体化学的機能を検出するセンサーを組み込むことで、早期診断やモニタリングに活かすことができます。
今回、研究者らが開発したのは、歯磨き粉にも含まれるCuPcを用いた「食べても安全な半導体」です。


CuPcは歯磨き粉の中にホワイトニング剤として含まれており、1日に2回歯を磨いている人であれば約1mg摂取しているとのこと。もし、この歯磨き時に摂取している量のCuPcがあれば、1万2500個以上の「食べても安全な半導体」が作れるそうです。
研究チームは、CuPcが1ボルト未満の低電圧で動作する食べられる電解質ゲートトランジスタの実証実験を行い、1年以上にわたる良好な再現性と安定した性能が示されたことから、将来的に「食べられる電子システム」の重要な構成要素となる「食べられる集積回路」への道が開かれたと述べています。

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