Raspberry Piがソニー製イメージセンサーを搭載したAIアプリケーション向けのカメラモジュールを発売


Raspberry Piが2024年9月30日に、ソニーのAI処理機能搭載イメージセンサーを搭載した「Raspberry Pi AI Camera」を発売しました。
Buy a Raspberry Pi AI Camera – Raspberry Pi
https://www.raspberrypi.com/products/ai-camera/
ソニーセミコンダクタソリューションズと英Raspberry Pi Raspberry Pi AIカメラを発売開始 ~エッジAIソリューション開発を加速~|ニュースリリース|ソニーセミコンダクタソリューションズグループ
https://www.sony-semicon.com/ja/news/2024/2024093001.html
Raspberry Pi AI Camera on sale now at $70 - Raspberry Pi
https://www.raspberrypi.com/news/raspberry-pi-ai-camera-on-sale-now/
Raspberry Pi launches camera module for vision-based AI applications | TechCrunch
https://techcrunch.com/2024/09/30/raspberry-pi-launches-camera-module-for-vision-based-ai-applications/
Raspberry Pi AI Camera Review: AI for the masses | Tom's Hardware
https://www.tomshardware.com/raspberry-pi/raspberry-pi-ai-camera-review-ai-for-the-masses
Raspberry Pi AI Cameraは、チップ上でAI処理を実行できるソニーセミコンダクタソリューションズ製インテリジェントビジョンセンサーの「IMX500」を搭載しており、Raspberry Pi上でビジョンデータを活用したエッジAIソリューションを効率的に開発することが可能です。また、SRAMを内蔵したRaspberry Pi独自のマイクロコントローラーチップである「RP2040」も組み合わされています。
ソニーセミコンダクタソリューションズは2023年4月に、Raspberry Piに対して出資を行ったことを発表しており、それ以降、ソニーセミコンダクタソリューションズの技術をベースに、Raspberry Pi開発コミュニティに対してエッジAIソリューション開発プラットフォームを提供することを目指して取り組んでいたとのこと。
これまで、膨大な画像データを活用したAIソリューションを開発するには、GPUやAIアクセラレーターなどのカメラ以外の各種コンポーネントが必要でしたが、Raspberry Pi AI Cameraでは、カメラ内のIMX500がAI処理を担当することで手軽にAIソリューションの開発が可能となっています。また、Raspberry Pi AI Cameraは2023年に登場したRaspberry Pi 5だけでなく、Raspberry Pi Zeroを含むすべてのRaspberry Piモデルに対応しています。


Raspberry Pi AI Cameraの具体的なユースケースとして、海外メディアのTechCrunchは「空いている駐車場を検出したり、交通の流れを追跡したりするスマートシティセンサーにRaspberry Pi AI Cameraを利用できるほか、産業環境では、Raspberry Pi AI Cameraの下を通過する製品の基本的な自動品質チェックを実施することができます」と述べています。
Raspberry Pi AI Cameraの最大解像度は10fpsで4056×3040、30fpsで2028×1520です。また、視野角は78度で、フォーカスは手動での調整が可能です。30fps・1080pでオブジェクト検出ニューラルネットワークモデル「MobileNet SSD」を実行した例が以下。正しく人物と観葉植物を見分けることができています。
Raspberry Pi AI Camera - Object detection demo - YouTube

同様に30fps・1080pで姿勢推定ニューラルネットワークモデル「PoseNet」を実行するとこんな感じ。
Raspberry Pi AI Camera - Pose estimation demo - YouTube

Raspberry Pi AI Cameraを実際に使った海外メディアのTom's Hardwareは、物体検出モデルなどで安定して30fpsを維持できたことを報告しています。一方で、「ピントが合う範囲が20cmから無限遠であるため、カメラに近づきすぎると画像がぼやけ、AIモデルがオブジェクトを検出できなくなる」という問題もあったとのこと。
ソニーセミコンダクタソリューションズ・システムソリューション事業部の柳沢英太事業部長は「我々はRaspberry Piのユーザーと開発者コミュニティに対するユニークな開発体験の提供をめざしています。我々の戦略的パートナーシップによる最初の成果として、ソニーセミコンダクタソリューションズのエッジAIセンシング技術を世界最大規模のデベロッパーコミュニティに提供できることを大変うれしく思います」と語りました。
また、Raspberry Piのエベン・アプトンCEOは「世界中の開発者にとって、AIによる画像処理は非常に魅力的なツールです。今回開発したのは、イメージセンサーのリーディングカンパニーであり、長年のパートナーであるソニーセミコンダクタソリューションズの技術と知見を融合させたRaspberry Pi AI Cameraです。このAIカメラを使って、コミュニティの皆さまがどのようなアプリケーションを創り出すのか、非常に楽しみにしています」と述べています。


なお、Raspberry Pi AI Cameraの価格は70ドル(約1万円)とされていますが、記事作成時点では日本の代理店では準備中となっています。また、Raspberry Pi AI Cameraの生産は「少なくとも2028年1月」までは続くそうです。

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