Steamが利用規約を変更、強制仲裁条項を削除してゲーマーが親会社​​Valveに対し法的措置を講じることを許可


ゲーム企業のValveが運営するゲーム販売プラットフォーム・Steamの利用規約が変更され、強制仲裁条項が削除されました。これにより、Steamを利用する上で紛争が生じた時は裁判で決着を付けることが可能となり、ユーザーがValveを訴えることもできるようになりました。
Steam :: Steam News :: Steam利用規約の更新について
https://steamcommunity.com/games/593110/announcements/detail/4696781406111167992
Steam Removes Forced Arbitration Clause, Gamers Can Now Sue Valve
https://www.404media.co/steam-removes-forced-arbitration-clause-gamers-can-now-sue-valve/
Valve will see you in court! No, really, Steam's just updated its subscriber agreement so that 'all disputes and claims proceed in court' | PC Gamer
https://www.pcgamer.com/gaming-industry/valve-will-see-you-in-court-no-really-steam-s-just-updated-its-subscriber-agreement-so-that-all-disputes-and-claims-proceed-in-court/
Valveは利用規約の更新について、以下のように述べています。
弊社は紛争を個別の仲裁によって解決するという要件を削除しました。 いつものように、何か問題があるときはSteamサポートに連絡することをお勧めします。ほとんどの場合、それが解決策にたどり着く最善の方法です。 しかし、それでもうまくいかない場合、更新されたSteam利用規約では、紛争は仲裁ではなく裁判所で解決するように規定されています。 また、更新前のバージョンのSteam利用規約に含まれていた集団訴訟への参加権の放棄のほか、費用および手数料の負担に関する条項も削除しました。
強制仲裁条項とは、この条項を含む契約に関連するあらゆる紛争について、契約当事者が裁判制度を利用する権利を放棄し、裁判ではなく仲裁によって解決することを定める条項です。強制仲裁条項は、公正な裁判を期待できない国での裁判を避けたり、短時間での紛争解決を可能にしたり、機密情報を含む審理内容の公開を避けたりするというメリットがあります。
しかし、この強制仲裁条項は企業が法的リスクを避けるために利用されることもあります。近年では、ディズニーがディズニーリゾートで亡くなった女性の遺族から訴えられた時に、ストリーミングサービスのDisney+の利用規約にある強制仲裁条項を持ち出し、裁判の棄却を求めたことが報じられています。
ディズニーが「ディズニーリゾートの食事で妻が亡くなった」という訴訟に対し「Disney+を一度でも利用した人はディズニーを永久に訴えられない」と主張 - GIGAZINE


今回Valveが規約を変更した背景には、2023年12月に法律事務所のZaigerに対して起こした訴訟が関係している可能性があるとみられています。この裁判でValveは「ZaigerがSNSで広告を出してSteamユーザーを集め、集団仲裁を利用してValveに和解金を支払わせようとした」と主張し、Zaigerの元弁護士から入手した内部文書を証拠として提示しました。
Valveは、Zaigerのやり口は「仲裁の過負荷」と呼ばれる法廷戦術であり、会社に圧力をかける方法だと指摘。今回の利用規約変更は、この仲裁の過負荷を避けるためのものだと考えられます。


今後、ユーザーとValveの間に問題が起きた場合は、アメリカ・ワシントン州の裁判所で解決することになります。なお、Steamの利用規約全文は以下から見られます。
Steam 利用規約
https://store.steampowered.com/subscriber_agreement

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