海賊版図書館「Library Genesis」に40億円超の損害賠償支払いの判決、アクセス差し止めやドメイン使用禁止命令も


書籍の海賊版をネット上で公開する「海賊版図書館」の老舗サイトとして知られる「Library Genesis(LibGen)」に対し、ニューヨーク連邦裁判所が著作権侵害による損害賠償として3000万ドル(約43億円)を支払うよう命じる判決を下しました。
U.S. Court Orders LibGen to Pay $30m to Publishers, Issues Broad Injunction * TorrentFreak
https://torrentfreak.com/u-s-court-orders-libgen-to-pay-30m-to-publishers-issues-broad-injunction-240925/


Pirate library must pay publishers $30M, but no one knows who runs it | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2024/09/pirate-library-must-pay-publishers-30m-but-no-one-knows-who-runs-it/
LibGenは2008年ごろから運営されているサイトで、創設者はロシア出身とみられ、初期は主にロシア語の科学の教科書などが公開されていたそうですが、途中で同様のサービスである「Library.nu」から50万冊以上の英語書籍の提供を受け、また、論文閲覧に用いられる海賊版サイトとして知られる「Sci-Hub」からもコンテンツが追加され、世界で最も知られる海賊版サイトの1つに成長しました。
出版社側もSci-Hubと同じようにLibGenを警戒し、複数の国でISPによるブロック措置などが行われています。
Sci-Hub & Libgen Blocked By Austrian ISPs Following Elsevier Complaint * TorrentFreak
https://torrentfreak.com/sci-hub-libgen-blocked-by-austrian-isps-following-elsevier-complaint-191111/
2023年、教科書出版社のCengage、Bedford、Macmillan Learning、McGraw Hill、Pearson Educationは、LibGenを著作権侵害で訴えました。ニューヨーク連邦裁判所のコリーン・マクマホン判事は原告の主張をそのまま受け入れ、LibGenは著作権侵害の責任を負うとする判決を下しました。
判決文にマクマホン判事は「原告(出版社)は、被告(LibGen運営者)の違法行為の結果、取り返しのつかない損害を受けており、被告がLibGenの運営を続けることを認めれば、損害を受け続けることになる」と記し、LibGenの運営は停止されるべきであると述べました。
また、原告は著作権で保護された作品200件について、1件あたり15万ドルの法定損害賠償を求めていたため、LibGenは総額で3000万ドルの損害賠償支払いが命じられました。
ただし、LibGenの運営者が何者なのかは不明のままなので、損害賠償が原告に支払われることはまずないだろうとみられています。
このため、原告は広範なアクセスの差し止めも求め、裁判所は求めに応じてLibGenへのアクセス差し止め命令を出しました。さらに、新たなドメインを取得して移転する対応を封じるために「LibGen」であると考えられるドメインを被告が使用できないようにする命令も下されました。
なお、サードパーティーのサービス、特に海外に拠点を置く事業者が、これらの命令に従うかどうかは不明瞭です。

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