アメリカ国内で販売停止になったKasperskyのユーザー約100万人をPango Groupが救済


セキュリティソフトの開発や販売などで知られるKaspersky(カスペルスキー)に対するアメリカ国内での販売禁止措置に伴い、アメリカのサイバーセキュリティ企業のPango Groupが、国内でKasperskyのソフトを使用していた約100万人の顧客全員を買収しました。
Pango Group taking over Kaspersky Lab's U.S. antivirus market after ban
https://www.axios.com/2024/09/05/kaspersky-pango-group-antivirus-deal


US Firm Sweeps up Kaspersky's Customers After Government Ban
https://tech.co/news/us-company-buys-kaspersky-customers
The FCC has finally banned Kaspersky from telecoms kits | TechRadar
https://www.techradar.com/pro/the-fcc-has-finally-banned-kaspersky-from-telecoms-kits
Kaspersky Forces Users to UltraAV After U.S. Ban, Is This the Right Move? - Hackerdose
https://hackerdose.com/security/kaspersky-forces-ultraav-after-us-ban/
Kasperskyはロシア出身のコンピューターウイルス研究者であるユージン・カスペルスキー氏が1997年に創業したセキュリティ企業で、アンチウイルスソフトやインターネットセキュリティソフトの大手として知られています。一方でKasperskyとロシア政府のつながりを懸念する声も挙がっており、2017年には国土安全保障省が政府機関でのKaspersky製品やサービスの使用禁止命令を出しています。
また、2022年に発生したロシアによるウクライナ侵攻に際して、カスペルスキー氏は中立の立場を示しましたが、依然としてロシア政府との関係に対する懸念は解消されず、2022年3月に連邦通信委員会(FCC)はKasperskyを「アメリカの国家安全保障に容認できないリスクをもたらすと見なされる通信機器およびサービスのリスト(セキュリティリスクリスト)」に追加しました。
そしてアメリカ商務省産業安全保障局(BIS)は2024年6月20日に、「ロシアを拠点とするセキュリティ企業のアメリカ子会社であるKaspersky Lab, Inc.が、製品またはサービスを国内で販売したり、国民に提供したりすることを禁止する最終決定を発表します」と述べて、アメリカ国内でのKaspersky製品のほぼ全面禁止を打ち出しました。これにより、Kasperskyは2024年7月20日からアメリカの事業者との新規契約が締結できなくなっているほか、2024年9月29日からは国内ユーザー向けのアップデートの配布やセキュリティサービスの運用ができなくなります。
ロシアのアンチウイルスソフト「Kaspersky」がアメリカで全面禁止に - GIGAZINE

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by David Orban
さらに、FCCは2024年9月6日に、Kasperskyのサイバーセキュリティソフトまたはアンチウイルスソフトを導入している機器の使用を禁止したことを発表しています。Kasperskyのソフトを導入したデバイスは、FCCから機器使用のための許可を得ることができません。そのためネットワークからそのソフトを削除し、別のセキュリティサプライヤー製品と入れ替える必要があります。
こうした決定を受けて、Kasperskyは「アメリカでビジネスを行う機会はもはや実行不可能」と述べ、2024年7月20日以降事業縮小を進めています。Kasperskyによると、最終的にはアメリカの事業所を閉鎖し、従業員を解雇する方針であるとのこと。
Kasperskyがアメリカでの事業を終了し従業員を解雇する方針 - GIGAZINE

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by Sergiy Galyonkin
このような措置を受けてもなおアメリカ国内には約100万人のKasperskyユーザーが残されています。こうしたユーザーを救うべく、Pango GroupとKasperskyはこれらの顧客をPango Groupのアンチウイルスソフト「Ultra AV」に移行させることに合意。ユーザーに対し既存の有料サブスクリプションでUltra AVを利用できるようになり、VPNやパスワードマネージャーを利用できることを通知しました。
Pango Groupの社長兼COOであるニール・フェザー氏は「良いニュースとしては、顧客が移行に際して何らかの行動をとる必要がないということです。私たちはカスタマーサポートチームを強化してKasperskyユーザーを支援する準備ができています」と語りました。
なお、ユーザーの引き受けに関する具体的な条件についてフェザー氏は明らかにしていないほか、Kasperskyはコメントを控えました。

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