犯罪現場周辺を通ったスマホのデータを無差別に要求する「ジオフェンス令状」は違憲であるとの判決を裁判所が下す

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法執行機関が特定の範囲を通ったデバイスのデータをGoogleなどに要求する「ジオフェンス令状」について、アメリカの第5巡回区連邦控訴裁判所が憲法修正第4条に違反しているという(PDFファイル)判決を下しました。
Federal Appeals Court Finds Geofence Warrants Are “Categorically” Unconstitutional | Electronic Frontier Foundation
https://www.eff.org/deeplinks/2024/08/federal-appeals-court-finds-geofence-warrants-are-categorically-unconstitutional

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US appeals court rules geofence warrants are unconstitutional | TechCrunch
https://techcrunch.com/2024/08/13/us-appeals-court-rules-geofence-warrants-are-unconstitutional/
5th Circuit rules geofence warrants illegal in win for phone users’ privacy | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2024/08/5th-circuit-rules-geofence-warrants-illegal-in-win-for-phone-users-privacy/
ジオフェンスとは仮想的な境界線で囲まれたエリアを指す言葉であり、スマートフォンなどのデバイスの位置情報を利用すれば、特定のジオフェンスに出入りしたデバイスを識別することができます。犯罪捜査を行っている法執行機関が、犯罪現場周辺のジオフェンスに出入りしたデバイスのデータを要求する令状は「ジオフェンス令状」と呼ばれ、主にAndroidデバイスのデータを収集しているGoogleに対して発行されます。
しかし、犯人が特定されていない状態で無差別に大量のデータを収集するジオフェンス令状には、「憲法修正第4条に違反しているのではないか」という声も上がっています。憲法修正第4条では、「いかなる令状も、宣誓または宣誓に代わる確約に基づいて相当な理由が示され、なおかつ捜索する場所および抑留する人、または押収する物品が個別に明示されていない限り、これを発行してはならない」と定められています。
ジオフェンス令状の場合、令状が出た時点で犯人が特定されているわけではなく、「犯罪現場周辺のジオフェンスを通ったデバイスのデータ」を無差別に収集します。そのため、犯人だけでなく無実の人々のデータも大量に収集されてしまいますが、これは憲法修正第4条が禁止している不合理な捜索に当たるのではないかと批判されているというわけです。

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2024年8月9日に、ルイジアナ州・ミシシッピ州・テキサス州を管轄する第5巡回区連邦控訴裁判所が、2018年2月にミシシッピ州の郵便局で発生した強盗事件の裁判で、ジオフェンス令状は憲法違反であるという判決を下しました。
この事件では、数カ月にわたる捜査にもかかわらず犯人を特定できませんでしたが、付近のカメラが捉えた映像から犯人がスマートフォンを使っていたことがわかっていました。そこで法執行機関は、事件現場となった郵便局の周囲約9万8000平方メートルをカバーするジオフェンスを設け、犯罪発生の前後1時間にわたりジオフェンスを通過したデバイスのデータをジオフェンス令状で要求しました。その結果として、強盗犯が特定されたとのことです。
裁判所は判決で、「この捜索は法執行当局が誰を探しているのか、あるいは捜索の結果が出るかどうかさえわからない中で行われています。実際、これらの令状の本質的な問題は特定されるべきユーザー(犯人)を含むのではなく、捜索後に犯人が見つかる可能性のある時間的・地理的な範囲のみが含まれているという点です。これは憲法上不十分といえます」と述べました。
なお、裁判所はジオフェンス令状自体は違憲だと判決したものの、2018年の時点でジオフェンス技術は斬新なものであり、当該事件の捜査において法執行機関は誠実に行動したと認めています。そのため、今回の事件の裁判では証拠を認定すると裁定しました。

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非営利組織の電子フロンティア財団(EFF)は今回の判決について、「控訴裁判所がジオフェンス令状によって生じるプライバシーの基本的侵害を認め、広範な捜索を禁止する憲法を支持したのは喜ばしいことです」と述べて歓迎しました。
なお、Googleは2023年末に、ロケーション履歴をユーザーのデバイスに保存するアップデートを発表しました。これにより、法執行機関のジオフェンス令状が事実上機能しなくなったことが報じられています。
Googleマップのアップデートで「犯行現場付近にいたユーザー」のデータを法執行機関へ提供することが不可能になる - GIGAZINE

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