GoogleとMetaが10代の若者をターゲットにした秘密の広告契約を締結していたという報道


GoogleとMetaが、未成年者のオンライン上での扱いに関するポリシーを回避し、YouTubeを視聴する10代の若者にInstagramの広告をターゲティングする秘密協定を結んでいたと、海外メディアのFinancial Timesが報じています。
Google and Meta struck secret ads deal to target teenagers
https://www.ft.com/content/b3bb80f4-4e01-4ce6-8358-f4f8638790f8


Google reportedly teamed up with Meta to skirt its own ad exploitation safeguards for teens
https://www.androidpolice.com/google-meta-targeted-teens-for-instagram-ad-campaign-per-report/
Meta and Google secretly targeted minors on YouTube with Instagram ads - The Verge
https://www.theverge.com/2024/8/8/24215911/meta-google-secretly-targeted-minors-youtube-instagram-ads
Financial Timesが入手した内部文書によると、Googleは広告システムで「unknown」に分類されたユーザーグループを意図的にターゲットにし、2024年2月から5月にかけて、10代の若者をターゲティングしてInstagramの広告を表示する実験を行っていたとのこと。この「unknown」に分類されたユーザーの多くが年齢不明でしたが、実際は未成年者が多く含まれていたそうです。
Googleはこの実験プロジェクトを通じてMetaとのより大規模な広告パートナーシップを発展させることを期待しており、MetaはTikTokなどの競合他社に対抗して若年層のユーザーを獲得・維持することが目的だったとFinancial Timesは報じています。
GoogleとMetaの仲介はフランスの大手広告代理店・Publicisのアメリカ子会社であるSpark Foundryが務め、ターゲティング広告実験は2024年2月から4月にかけてカナダで、5月にはアメリカでも行われたとのこと。
このプロジェクトはあくまでも実験だったため、小規模で実施されたそうですが、結果はポジティブなものだったため、国際市場への拡大やFacebookなどの他のアプリの宣伝も計画されていたそうです。


Financial Timesは、「unknown」という年齢不明のユーザーカテゴリーを使ったのは、Googleが内部ポリシーを回避するためだったと主張。「人口統計に基づいた広告の配信を含め、18歳未満のユーザーに対する広告のパーソナライズやターゲティングを禁止するGoogleのポリシーを無視しています。また、Googleは自社ガイドラインを回避することを禁止するポリシーも掲げています」と指摘しました。
Financial TimesがGoogleに連絡したところ、Googleはすぐに内部調査を開始。その結果、すでにこのプロジェクトが中止されていたとのこと。Googleは「私たちは、18歳未満の人向けにパーソナライズされた広告を禁止しています。このポリシーは技術的な安全対策によってサポートされており、適切に機能したことが確認されました」と述べ、18歳未満のユーザーは広告ターゲティングの対象にされなかったと返答しました。
Metaは、「unknown」のユーザーグループを対象に広告ターゲティングを行うことがポリシーの回避に当たるという意見には同意しないとし、自社サービスの広告を出す場合は自社のポリシーだけでなく他社のポリシーも順守すると述べました。ただし、「『unknown』のユーザーグループに18歳未満のユーザーが多く含まれていることを認識していたか」というFinancial Timesの質問に、Metaは回答しませんでした。
IT系ニュースサイトのAndroid Policeは「規制当局はおそらく反競争的共謀、欺瞞的広告、そして未成年者をターゲットにした行為について、新たな訴訟を起こす可能性が高いと思われます」と述べ、この秘密契約が取り締まりの対象になり得ると指摘しました。
なお、この実験が行われていたとされる2024年2月に、Metaのマーク・ザッカーバーグCEOは公聴会に召喚され、SNSの影響で自殺に追い込まれた子どもたちやその家族に対して謝罪をしています。
X(旧Twitter)・TikTok・Snap・Discord・MetaのCEOがSNSでの子どもの安全性についての公聴会に召喚される、Metaのマーク・ザッカーバーグCEOがSNSによって危害を加えられた子どもやその家族に対して謝罪 - GIGAZINE

ジャンルで探す