個人や企業に無許可のAIディープフェイクの作成・ホスティング・共有に対する責任を課す「NO FAKES法」を超党派の議員が提出


2024年7月31日に、アメリカの超党派の議員らが個人の同意なしに人の声や肖像のディープフェイクを作成することを違法とする「Nurture Originals, Foster Art, and Keep Entertainment Safe Act(NO FAKES法)」を上院議会に提出しました。
Senators Coons, Blackburn, Klobuchar, Tillis introduce bill to protect individuals’ voices and likenesses from AI-generated replicas
https://www.coons.senate.gov/news/press-releases/senators-coons-blackburn-klobuchar-tillis-introduce-bill-to-protect-individuals-voices-and-likenesses-from-ai-generated-replicas


Support the Nurture Originals, Foster Art, and Keep Entertainment Safe (NO FAKES) Act of 2024
(PDFファイル)https://www.humanartistrycampaign.com/_files/ugd/3e8afa_46039a7c26a74e85a49d2c716a176483.pdf
Senators introduce bill to protect individuals against AI-generated deepfakes
https://www.engadget.com/senators-introduce-bill-to-protect-individuals-against-ai-generated-deepfakes-202809816.html
NO FAKES法とは、AIによって同意なしに声や顔、体が再現された場合に、人々が損害賠償を求めることができるというもの。個人や企業を問わず、生成AIなどで許可されていないディープフェイクを作成、ホスティング、共有した場合、法的責任に問われることになります。
また、NO FAKES法では該当の人物が亡くなっても効力を発揮し、声や肖像を保護する権利はその人物の相続人や遺産の執行者に受け継がれるとのこと。
法案を提出した民主党のクリス・クーンズ上院議員は「有名人であろうとなかろうと、誰もが自分の声と肖像を保護する権利があります。生成AIは、創造性を育むツールとして使用することができます。しかし、誰かの声や肖像を無断で複製していいというわけではありません」と主張しています。また、エイミー・クロブチャー上院議員は「広告や画像、音楽、ビデオで、ユーザーの同意なしにAIが生成したディープフェイクを目にする機会が次第に増加しています。私たちは、このような急速に進歩するテクノロジーと同様に洗練された法律を必要としています。NO FAKES法とは、AIを通じて許可なく自分の声や肖像が複製されることから人々を保護するためのルールを確立するものです」と語っています。


NO FAKES法に対しては、俳優らの労働組合・映画俳優組合-アメリカテレビラジオ芸術家連盟(SAG-AFTRA)やアメリカレコード協会(RIAA)、モーション・ピクチャー・アソシエーション、ザ・レコーディング・アカデミーなどの組織が支援を表明しているほか、OpenAIも支援者としてリストアップされています。
OpenAIのグローバルアフェアーズ担当副部長のアンナ・マカンジュ氏は「OpenAIは、許可のない声や肖像のデジタルレプリカの作成からクリエイターやアーティストを保護するNO FAKES法を支援できることをうれしく思います。クリエイターやアーティストは、不適切ななりすましから保護されるべきであり、そのためには国家レベルで取り組む必要があります」と主張しました。
クーンズ氏は「党派の垣根を超えたパートナーシップと、AIと個人の尊厳の保護のバランスを見つけるために取り組んでいるエンターテインメントおよびテクノロジー業界の支援に感謝しています。この法案がさまざまな場所で支持されることが楽しみです。私たちはできる限り早く法律が可決されるように努力します」と語りました。

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