AI検索結果に記事の盗用を指摘されていたPerplexityが大手メディアと広告収益を分配するプログラムを立ち上げ


AI搭載検索エンジンを提供するPerplexityが、パブリッシャー向けの新たな収益分配プログラムを発表しました。Perplexityは自社の検索エンジンに大手メディアの記事を盗用したと指摘されており、法的トラブルを回避するために広告収入の一部をパブリッシャーやコンテンツ作成者に分配することを提案しています。
Perplexity:Introducing the Perplexity Publishers’ Program
https://www.perplexity.ai/ja/hub/blog/introducing-the-perplexity-publishers-program
Perplexity AI to share revenue with publishers after plagiarism storm
https://www.cnbc.com/2024/07/30/perplexity-ai-to-share-revenue-with-publishers-after-plagiarism-accusations.html
PerplexityのAI搭載検索エンジンは、検索入力欄に調べたい内容を文章で入力すると、AIが検索結果をまとめてレポートや記事を作成したり、対話形式で臨機応変に疑問に答えてくれたりするシステムとなっています。


しかし、Perplexityが生成する検索結果の記事の本文が、大手メディアの有料記事の一部をそのまま流用しているとして問題になりました。
AI検索エンジンの「Perplexity」がForbesなどの記事の一部をAIでまとめてほぼ同一の内容を最低限の帰属表示で再公開していると指摘される - GIGAZINE


Perplexityは「私たちが質の高い回答を提供できるかどうかは、人々が最も関心を持つトピックを扱った信頼できる正確な情報源にかかっています。私たちは初日から、各回答に引用を記載し、パブリッシャーが正当な評価を受け取れるようにし、ユーザーの信頼を築いてきました」と述べ、 TIME、Der Spiegel、Fortune、Entrepreneur、The Texas Tribune、WordPress.comといったパブリッシャーと新たなプログラムを契約したと発表しました。
A core belief at Perplexity is that everyone should have access to relevant and accurate information on the topics that matter to them. To ensure that publishers can benefit as Perplexity grows, today we’re excited to launch our publishers program with our first partners: @TIME,… pic.twitter.com/K1oPCpw3li— Perplexity (@perplexity_ai) July 30, 2024
このプログラムは、関連質問機能に広告を導入し、パブリッシャーのコンテンツが参照されるインタラクションからPerplexityが収益を得ると、パブリッシャーにも収益の一部が分配される仕組みです。WordPress.comのリリースによれば、パブリッシャープログラムに参加したことでWordPress.comのブログ記事が検索インデックスに含まれ、Perplexityの回答として表示されるようになるとのこと。この時にPerplexityが広告収入を得た場合、ブログ記事を書いた人に収益が分配されることになっています。


Perplexityの最高事業責任者(CBO)であるドミトリー・シェベレンコ氏は経済メディアのCNBCに、「Perplexityが回答でそのパブリッシャーの記事を引用して広告収入を得るたびに、Perplexityはその収入の一定の割合を分配します。その割合は記事ごとに計算されます」と語りました。これはつまり、1つの回答に1つのパブリッシャーの記事が3本使用された場合、パートナーは3本分の収入分配を受け取ることを意味します。
シェベレンコ氏は、新たなプログラムにおける収入の分配率が「2桁パーセント」であることを認めましたが、具体的な数字については明らかにしませんでした。シェベレンコ氏によれば、プログラムを発表して2時間も経たないうちに、大手日刊紙やその親会社を含む10社以上のパブリッシャーが興味を示して連絡してきたとのこと。
新たなプログラムではさらに、パブリッシャーとAI企業のコラボレーションを効率化し、パブリッシャーにAI分析を提供するプラットフォームであるScalePost.aiとの連携も図られる予定。これにより、パートナーのパブリッシャーはPerplexityが自社のコンテンツをどのように引用しているかをチェックできるそうです。
加えて、Perplexityの大規模言語モデルにアクセスできるAPIと開発者サポートへの無料アクセスもプログラムの契約内に含まれます。これにより、各パブリッシャーはウェブサイトで独自のAI搭載カスタム検索エンジンを作成可能になります。また、プライバシー保護とセキュリティ機能を備えたPerplexityのEnterprise Proプランも、契約パブリッシャーに1年間無料で提供されるとのこと。


Perplexityのアラヴィンド・スリニヴァサCEOは「このパブリッシャープログラムは、すべての関係者のインセンティブを一致させる、スケーラブルで持続可能な方法を確保するために構築されました。このプログラムに参加し、プログラムをどのように運営すべきかについて貴重なフィードバックを提供してくれたパブリッシャーに感謝します。私たちは常に、インターネット全体が勝利するシステムを構築できると信じてきましたが、これはほんの第一歩にすぎません」とコメントしています。
TIMEの最高執行責任者であるマーク・ハワード氏は「TIMEは、世界中の読者に信頼できるジャーナリズムを提供するという使命を推進するために、革新的な新技術とプラットフォームを採用することに尽力しています。信頼できる情報へのアクセスを拡大し、新しい方法で読者を魅了し続けるために、Perplexityのパブリッシャープログラムに立ち上げパートナーとして参加できることを誇りに思います」とコメントしています。

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