高速メモリカードCFexpressには「認定詐称品」が存在していた
「CFexpress」はSDカードと比べて高速なデータ転送が可能なメモリカード規格で、高速連写や高解像映像記録などの機能を備えた高級デジタルカメラで採用されています。このCFexpressカードの中には「データの高速転送が可能なカードの認定」を受けたように見せかけたカードが存在していたのですが、状況が改善していることが報じられています。
Sony Photographers Need to Be Careful What Memory Cards They Buy | PetaPixel
https://petapixel.com/2023/12/08/sony-photographers-need-to-be-careful-what-memory-cards-they-buy/
It Took Six Months, But CFexpress Card Makers (Mostly) Cleaned Up Their Acts | PetaPixel
https://petapixel.com/2024/07/08/it-took-six-months-but-cfexpress-card-makers-mostly-cleaned-up-their-acts/
CFexpressカードには大きさの異なる「Type A」「Type B」「Type C」の3種類が存在しています。最も小型なCFexpress Type Aはおもにソニー製カメラで採用されているのですが、このCFexpress Type Aの中には「高速転送認定」を受けていないにもかかわらず、認定を受けたように振る舞う製品が存在していました。
CFexpressカードは複数のメーカーから数多くのモデルがリリースされており、モデルごとに転送速度が異なります。このため、CFexpress規格を策定したCompactFlash Association(CFA)は転送速度の指標となる「Video Performance Guarantee (VPG)」をモデルごとに認定しています。例えば、以下のソニー製CFexpress Type Aカードは400MB/s以上の書込速度を保証する「VGP400」の認定を受けており、ラベルに認定ロゴが記されています。
CFexpressカードのファームウェアには、VGPの認定状況を示すフラグが存在しており、デジタルカメラはカードのファームウェアに含まれるフラグを読み取って機能の使用可否を決定しています。例えば、ソニー製デジタルカメラ「α1」では4Kや8Kの映像を撮影する際にVPG200以上のCFexpress Type Aカードの使用を(PDFファイル)求めており、対象外のCFexpress Type Aカードが挿入されている場合は撮影設定から当該記録方式を選択できなくなります。
海外メディアのPetaPixelによると、CFexpress Type Aカードの中には、実際にはVPG200認定を取得していないにもかかわらず、ファームウェアに「VP200以上を示すフラグ」を模倣したコードを挿入してVPG200認定を受けたように振る舞うものが存在していたとのこと。それらのカードを使用した場合、デジタルカメラに正しいカードとして認識されるため撮影自体は可能ですが、映像データが破損したりビットレートが落ちる可能性があります。
PetaPixelはフラグの模倣を行っていたメーカーとして「Exascend」「Wise」「Pergear」「Angelbird」の4社を列挙しています。
PetaPixelは上記の問題を指摘する記事を2023年12月に掲載しました。そして、2024年7月に「状況が改善した」と報告する記事を掲載。PetaPixelによると、「Exascend」「Wise」「Pergear」の3社は新たにVPG200の認定を取得したそうです。また、残る1社の「Angelbird」はフラグを模倣していたカードの生産を終了しました。
PetaPixelは3社の認定取得と1社の撤退を受けて「少なくとも、著名なブランドのカードについて心配する必要はなくなった」と述べています。一方で、無名メーカーが販売する明らかに安すぎるCFexpress Type Aカードには引き続き注意が必要とのことです。
なお、VPGの認定を受けたメモリカードのリストは以下のリンク先から確認可能です。
Video Performance Guarantee (VPG) – CompactFlash Association
https://compactflash.org/video-performance-guarantee-vpg/
07/10 17:39
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