YouTubeがアーティストの音楽を模倣するAI音楽生成ツールを2024年にリリースするべくソニー&ワーナー&ユニバーサルと楽曲ライセンス取得の交渉中


YouTubeは、AIを用いた音楽生成ツールの開発を進めており、テキスト入力によって有名アーティストの音楽スタイルを模倣した短い楽曲クリップを生成できる「Dream Track」というAIツールの拡大を目指しています。YouTubeがソニー、ワーナー、ユニバーサルといった主要レコード会社と交渉を行い、より多くのアーティストの音楽をAIの学習データとして使用するライセンスを得ようとしていることが報じられています。
YouTube in talks with record labels over AI music deal
https://www.ft.com/content/e2d9472d-32e0-43f5-8109-efb753fac330
YouTube in talks with major labels to license songs for AI tools: report
https://www.proactiveinvestors.com/companies/news/1050660/youtube-in-talks-with-major-labels-to-license-songs-for-ai-tools-report-1050660.html
Dream Trackは2023年11月にGoogle DeepMindが開発したAIツールで、生成したい音楽のジャンルや雰囲気、トピックを入力し、ボーカルの元となるアーティストを選択するだけで、YouTubeショート用の最大30秒の楽曲を生成してくれます。
Google DeepMindが音楽生成に特化したAIモデル「Lyria」を発表、口ずさむだけでメロディーが生成される - GIGAZINE


実際にDream Trackがチャーリー・プース氏の声とスタイルを模倣して生成した曲が以下。
Introducing Dream Track - an experiment on YouTube Shorts - featuring Charlie Puth - YouTube

しかし、Dream TrackのようなAIツールは「人間のアーティストの権利を侵害し、音楽の価値を下げかねないAIの使用は控えるべき」として、200名以上の著名アーティストがAIツールを非難する声明を出しています。
音声を盗んだりアーティストを置き換えたりする「略奪的AI」を非難する書簡にビリー・アイリッシュやスティーヴィー・ワンダーなど200人以上の著名人が署名 - GIGAZINE


YouTubeはDream Truckを、TikTokと競合するYouTubeショートに実装しようと考えており、そのためにアーティストの音楽を学習データとして使用するライセンスを得るべく、ソニーやワーナー、ユニバーサルといった主要なレコード会社と交渉を行っているそうです。
経済メディアのFinancial Timesによると、YouTube側はレコード会社に一時金を支払うことを提案しているとのこと。この一時金の支払いは、通常のストリーミングサービスで使用されるようなロイヤリティベースの契約とは異なり、MetaやSnapなどのソーシャルメディア企業が音楽へのアクセスのためにエンターテインメント企業に支払う一回限りの支払いに近い形態だそうです。
重要なポイントは、これらの契約が包括的なライセンスではなく、選ばれた一部のアーティストにのみ適用される点です。つまり、レコード会社がどれだけのアーティストの参加を促すことができるかによって、YouTubeが最終的に支払う金額が変わってくる可能性があります。
ただし、音楽業界は依然としてAI企業に対して厳しい姿勢を見せており、ソニー、ワーナー、ユニバーサルは音楽生成AIサービスのSunoとUdioを著作権侵害で訴えています。そのため、各レコード会社がYouTubeとの交渉を拒否する可能性も十分考えられます。
音楽生成AIサービス「Suno」と「Udio」をソニー&ワーナー&ユニバーサルなどの音楽大手各社が著作権侵害で訴える - GIGAZINE

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