Microsoftの「OfficeとTeamsの抱き合わせ販売」について欧州委員会が独占禁止法違反の見解を通達


欧州委員会が「MicrosoftがTeamsをOffice 365やMicrosoft 365と抱き合わせ販売している現状は独占禁止法に違反している」とする予備的見解をMicrosoftに通達したことを発表しました。
Statement of Objections to Microsoft
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_24_3446


Microsoftは、WordやExcelなどのOffice製品のサブスクリプションサービス「Microsoft 365(旧称:Office 365)」にメッセージングサービスのTeamsも含めています。しかし、Microsoft 365にTeamsを含めることは「Teams以外のメッセージサービスを選択する自由をユーザーから奪っている」とも指摘されており、2023年7月には欧州委員会がMicrosoftに対して独占禁止法違反の疑いで調査を開始しました。
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そして、2024年6月25日に、欧州委員会は「Microsoftが独占禁止法に違反している」とする予備的見解をMicrosoftに通達したことを発表しました。発表によると、欧州委員会は「MicrosoftはプロフェッショナルユースにおけるSaaS市場で世界的に優位な立場にある」と暫定的に判断したとのこと。具体的には「Microsoftは遅くとも2019年4月以降にTeamsと自社の中核となるSaaS生産性アプリケーションを結びつけた。これにより、コラボレーション製品市場における競争を制限し、生産性アプリケーション市場における自社の地位を競合他社から守ろうとした」と指摘しています。
さらに、欧州委員会は「Microsoftは、Microsoft 365を契約するユーザーに対して『Teamsを利用するか否かの選択肢』を与えていなかった。これにより、Teamsに流通上の優位性が付与された。さらに、Teamsと競合するアプリとMicrosoft製品との相互運用性に制限を設けることで、Teamsの優位性を補強した。これらの行為によってTeamsの競合他社の競争や革新が制限され、欧州経済領域が損害を被った可能性がある」と述べ、Microsoftを非難しています。
Microsoftは2024年4月にTeamsを含まないMicrosoft 365のプランを提供開始しています。しかし、欧州委員会は「これらの変更は不十分であり、競争を回復するにはMicrosoftの行動のさらなる変更が必要であると暫定的に判断した」と述べ、Microsoftに対してさらなる対応を求めています。
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なお、今回の発表は「予備的見解」の段階ですが、Microsoftの独占禁止法違反が最終的に認められれば、Microsoftは全世界の年間売上高の最大10%の罰金を科されることとなります。

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