イスラエルの複数の組織がアメリカの議員から支持を集めるため偽のSNSアカウントを作成し親イスラエルやイスラム嫌悪の投稿をネットで拡散しているとの報告


イスラエルではパレスチナのガザ地区において、イスラム原理主義組織のハマスとの軍事衝突が続いています。そんなイスラエルでは、政府の主導で偽のウェブサイトやSNSアカウントを活用して、親イスラエルや反パレスチナ、反イスラムのコンテンツを発信していることが報告されています。
Israel Secretly Targets U.S. Lawmakers With Influence Campaign on Gaza War - The New York Times
https://www.nytimes.com/2024/06/05/technology/israel-campaign-gaza-social-media.html
Israel Secretly Targeted American Lawmakers With Gaza War Influence Campaign - National Security & Cyber - Haaretz.com
https://archive.md/sbAPI


偽情報やヘイトスピーチなどの調査を行うFake Reporterの(PDFファイル)調査によると、イスラエル政府によるこの作戦は、政治運動を支援するイスラエル企業によって実施されているとのこと。その中にはイスラエル政府から運営資金の半分の援助を受ける「Voices of Israel」と呼ばれる組織も含まれているそうです。
Voices of Israelは、イスラエル戦略相と広報外務省のイニシアチブとして設立された公益企業であり、イスラエルの情報公開法の対象外となっています。海外メディアのHaaretzによると、Voices of Israelはイスラエルの外交活動に親イスラエルの活動家や組織を参加させ、イスラエル企業に対する投資の撤退、制裁活動、反ユダヤ主義の言説と戦うために設立されたとのこと。


実際にVoices of Israelのウェブサイトには「Voices of Israelは、ディアスポラ省主導でイスラエル政府と合弁事業の契約を結び、反ユダヤ主義と戦う」と記されており、基本的な目標として「パブリック・ディプロマシーのツールを使って、国際舞台でイスラエルのイメージを高め、世界中で生まれる反ユダヤ主義と戦うこと」を挙げています。
プロジェクト実施前のイスラエルでは、ハマスによる残虐な行為を公表し、ガザ地区での戦闘を正当化するための発信源を欠いていました。そこでイスラエル政府は実在の人物によく似たSNSアカウントの作成や、公式メディアの報道をコピーして拡散するニュースサイトを開設することを決定。イスラエル政府に委託された複数の組織が、何百ものSNSアカウントを使ってハマスによる性的暴行の実態や、国連救済事業機関とハマスの関係に関する疑惑の報道など、イスラエル寄りな記事を積極的に宣伝してきました。これらの記事は、主にアメリカの民主党議員に訴えかけることを目的として発信されていました。


2024年4月には、偽のニュースサイトがアメリカやカナダの大学の中から、ユダヤ人が学ぶのに適した大学をランク付けする「善きサマリア人」と呼ばれるサイトの宣伝を実施。Fake Reporterがこのサイトの調査を実施すると、イスラム嫌悪の情報を拡散していた4つのウェブサイトと同じIPアドレスから発信されていることが明らかとなりました。
その後、Metaはこれらの偽サイトを宣伝するFacebookアカウントを削除しているほか、OpenAIはイスラエルなどのユーザーによって展開されている「AIを用いて世論を操作し政治的結果に影響を与えようとする活動」に関するアカウントを停止したことを報告しています。
OpenAIがロシア・中国・イラン・イスラエルによるAIの悪用を未然に防いだと明かす - GIGAZINE

イスラエルの複数の組織がアメリカの議員から支持を集めるため偽のSNSアカウントを作成し親イスラエルやイスラム嫌悪の投稿をネットで拡散しているとの報告 - 画像


OpenAIのレポートでは、これらの活動は「Stoic」と呼ばれるイスラエル企業によるものと指摘されています。Haaretzによると、Stoicはターゲットとなるユーザーのプロファイリングとそれに適応したコンテンツの作成を可能にするさまざまなソフトウェアやシステムを持っているほか、架空のオンラインアカウントの大量作成と複数のSNSでの同時アクティブ化を可能にする「Ma'acher」と呼ばれるプラットフォームを保有しているとのこと。OpenAIは、StoicがChatGPTを悪用して、イスラエルでのプロパガンダキャンペーン用のコンテンツを作成していることを報告しているほか、Stoicはこれまでにも、インド政府などに向けたキャンペーンを展開していることを報告しています。
なお、Haaretzからのコメントの要請にStoicは応じていないとのことです。

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