「iPadOSにはAppleが解決するべき多くの問題が残されている」とiPadのヘビーユーザーが改善してほしい点を列挙

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Appleが開発するタブレットであるiPadは2010年に初めて登場し、仕事や娯楽などさまざまな用途に広く利用されています。ところが、iPadのヘビーユーザーであるというガジェット系ライターのフェデリコ・ヴィティッチ氏は「依然としてiPadOSにはAppleが改善するべき多数の問題が残されている」として、解決されていない問題を列挙しています。
Not an iPad Pro Review: Why iPadOS Still Doesn't Get the Basics Right - MacStories
https://www.macstories.net/stories/not-an-ipad-pro-review/

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ヴィティッチ氏は10年以上iPadを愛用してきたヘビーユーザーであり、これまでにいくつものiPad関連の記事を執筆してきた人物ですが、「iPadおよびiPadOSが抱える問題点」について包括的に記した記事を書いたことはなかったとのこと。そこでヴィティッチ氏は今回の記事で、iPadOSの問題点を以下のように列挙しています。
◆1:アプリが不足している
iPadOSが抱えているさまざまな問題の中で最もシンプルなのが、単純に「macOSやiOSで使えるのにiPadOSで使えないアプリが多数存在する」というものです。iPadではその他のAppleデバイスで使える「計算機(電卓)」「テキストエディット」「プレビュー」「ジャーナル」など、一部のアプリが使えません。iPadはハイエンドモデルになると20万円を超える高額なデバイスであり、すでに登場から14年が経過していることを考えれば、このギャップを埋めてほしいと思うのも当然です。
◆2:Mac版より性能の低いアプリがある
たとえiPadで使えるアプリであっても、機能面でmacOS版より劣っているケースもあります。たとえばiPadのメールアプリではMacのようにスマートメールボックスを作成できず、ミュージックアプリもスマートプレイリストに対応していません。他にも、ショートカット機能や辞書機能もiPadは不十分だとのことで、ヴィティッチ氏は不満を表明しています。

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◆3:「ファイル」アプリの信頼性が低くて動作も遅い
これまでさまざまなアプリに目を向けてきたヴィティッチ氏ですが、特に「ファイル」アプリは設計とパフォーマンスの観点から根本的な再考が必要だと指摘。ヴィティッチ氏によると、iPadのファイルアプリはmacOSのファイルマネージャーであるFinderよりも信頼性が低く、ファイルのコピーや移動をしようとすると操作が停止したりキャンセルされたりすることが多いとのこと。ファイルのコピーや切り取り、移動はファイルマネージャーにとって基礎的な操作であり、iPadのファイルアプリがこれすらできないことは許しがたいとヴィティッチ氏は述べています。
他にもヴィティッチ氏は、「データを移動またはコピーする時に転送速度が表示されず、転送が機能しているのかどうかぱっと見でわかりにくい」「クイックアクションがmacOSのようにカスタマイズできない」「スマートフォルダを作成できない」「特定のファイルタイプを開くためのデフォルトアプリを設定できない」といった問題を挙げています。特に最後の点は深刻な問題であり、Appleは十分なストレージを備えたiPadを販売するのであれば、ストレージを完璧に管理できるファイルアプリを提供するべきだとヴィティッチ氏は主張しました。
◆4:オーディオシステムに制限がある
iPadOSのオーディオシステムには、「複数のオーディオストリームを同時に再生できない」「ウェブ回線での通話中にローカルの音声を録音できない」といった制限があります。MacではYouTubeやTwitchの動画をミュートで再生しながら、同じMacでポッドキャストや音楽を聴くことができますが、iPadでは片方を再生するともう一方が停止してしまいます。また、後者は複数人で会話する形式のポッドキャストで録音を残し、配信する際に大きな障壁となるとのことです。
◆5:マルチタスク機能が分断され混乱している
Appleは長年にわたりiPadでマルチタスク機能を提供してきたものの、2~3年ごとに新しいマルチタスク用のUIをリリースし、改良しないまま新たなサイクルを開始することを繰り返しています。記事作成時点で最新のステージマネージャでも依然として、「一度に4つのウィンドウしか利用できない」「頻繁に使用するウィンドウの組み合わせをプリセットとして登録できない」「間違ったウィンドウがアクティブなままでキーボード入力を受け付けるバグがある」「最前面のアプリの新しいウィンドウを作成できない」「ワークスペース内の全ウィンドウを素早くプレビューする方法がない」など、さまざまな問題を抱えているとのこと。
もしかするとiPadユーザーの中には、「iPadは世界最先端のハードウェア開発企業であるAppleが開発しているのだから、現状の技術ではタブレットやスマートフォンの形式でiPad以上のマルチタスク体験を実現するのは難しいのだろう」と考える人もいるかもしれません。しかし、ヴィティッチ氏によると中国メーカーのOnePlusがリリースした「OnePlus Open」という折り畳み式スマートフォンには、iPadよりも洗練された「Open Canvas」というマルチタスクUIが搭載されているそうです。OnePlus Openでどのようなマルチタスク操作が可能なのかは、以下の動画で確認できます。
Multitasking tips with the OnePlus Open | Unlock Performance - YouTube

ヴィティッチ氏は、Appleがその気になれば革新的かつ高性能なタブレットファーストのマルチタスク機能を設計できるはずだと主張。Appleはトップダウンで、iPadOSにおけるマルチタスク機能の変更を実施するべきだと訴えました。
◆6:「Spotlight」のアプリ検索機能が使いにくい
高性能なデバイスには高速かつ信頼性の高いアプリランチャーが必要ですが、iPadOSの「Spotlight」は遅くて一貫性のないパフォーマンスに悩まされているとのこと。ヴィティッチ氏は、Spotlightのアプリ検索機能では確実にインストールしたはずのアプリが表示されなかったり、うまく検索ボックスが表示されなくなったり、入力できなくなったりすることが頻発すると不満を漏らしています。
◆7:バックグラウンドでタスクを進行させられない
最新のiPad ProにはAppleが開発したM4チップと16GBものRAMが搭載されていますが、依然として動画編集アプリでビデオのエクスポート中に画面を切り替えると、エクスポートがキャンセルされてしまうと指摘。単純なスペックでは劣っていても、Macではバックグラウンドでファイルのエクスポートといったタスクを走らせられるのに、高性能なiPadがこの機能をサポートしていないのは問題だとヴィティッチ氏は述べました。
◆8:バックアップツールのサポートが貧弱
iPadOSはMacにあるTime Machineのような組み込みのバックアップツールや、サードパーティーのバックアップツールをサポートしていません。写真家やイラストレーター、YouTuberなどiPadのヘビーユーザーであろうクリエイターたちにとって、便利な自動バックアップツールが使えないのは致命的な弱点といえます。
◆9:外部ディスプレイ接続時でもロックを解除しておく必要がある
ユーザーはiPadを外部ディスプレイに接続して大画面で作業することができますが、外部ディスプレイでの作業中もiPadのロックを解除して開いたままにしておく必要があります。一応の回避策は存在しているものの、それらは最適な方法ではなく、Appleは公式にiPadOSで外部ディスプレイ接続時の画面オフをサポートするべきだとヴィティッチ氏は主張しました。

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ここまで長々とiPadOSの問題点を列挙してきたヴィティッチ氏ですが、入院中のベッドの上で初めてiPadを触って以降、10年以上もiPadを愛用し続けてきたヘビーユーザーでもあります。ヴィティッチ氏はiPadを「Appleがこれまでに作った中で最高のコンピューター」と高く評価しており、より良くなってほしいと願っているからこそ、Appleは現実的な問題を直視して改善を行うべきだと訴えました。

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