OpenAIと大手報道機関の契約内容を示す資料が流出し「優先的表示」などの優遇条件が明らかに


OpenAIはAP通信やFinancial Timesといった大手報道機関と戦略的パートナーシップを提携しており、各報道機関の記事をChatGPT内に表示する契約を結んでいます。このOpenAIと報道機関の契約内容については不明点が多いのですが、新たに海外メディアのAdweekが契約に関する資料を入手してその内容を報じました。
Leaked Deck Reveals OpenAI's Pitch on Publisher Partnerships
https://www.adweek.com/media/openai-preferred-publisher-program-deck/
OpenAIは報道機関とのパートナーシップ提携を進めており、すでに「Financial Times」「AP通信」「アクセル・シュプリンガー」「ル・モンド」「プリサ・メディア」といった大手報道機関とのパートナーシップ提携を発表しています。OpenAIはパートナーシップ提携によって「ChatGPTの応答で報道機関の記事を引用したり、要約を記したり、リンクを埋め込んだりできるようになる」「報道機関がOpenAIのAPIを活用できるようになる」と発表していますが、具体的な契約内容は明らかにされていません。
OpenAIとFinancial Timesが戦略的パートナーシップを提携しChatGPT内にFinancial Timesの情報が表示されるように - GIGAZINE


そんな中、海外メディアのAdweekが「OpenAIが報道機関に提供した資料」を入手して契約内容を報じました。
報道によると、OpenAIは「選び抜かれた高品質の報道機関」を対象に「Preferred Publisher Program(優先パブリッシャープログラム:PPP)」と呼ばれる契約を提案していたとのこと。PPPに参加した報道機関はChatGPTの応答で優先的に取り扱われたり「よりリッチなブランド表現」が付与されたりするほか、OpenAIから対価を受け取ることもできます。
OpenAIから報道機関への支払いは「データへのアクセスに対する固定ライセンス料」と「チャット内に表示した回数に応じて変動する利用料」の2種類に分かれているとのこと。また、ある報道機関の幹部は「PPPは既存のAIモデルの学習ではなく、新たな記事のスクレイピングに重点を置いているようです」と証言しています。
OpenAIの担当者はAdweekに対して「(報道された)OpenAIの機密資料は議論のみを目的としたものです。Adweekが報じた資料には古い情報や誤った箇所が含まれています」と述べ、Adweekが入手した資料が実際の契約内容とは異なるものであると主張しています。
なお、OpenAIによる記事内容の利用に関しては報道機関ごとに対応が分かれており、AP通信やFinancial Timesなどがパートナーシップを提携したのに対して、ニューヨーク・タイムズを含む複数の報道機関は「OpenAIによるコンテンツの学習」を問題視してOpenAIと出資元のMicrosoftを訴えています。
大手日刊紙のニューヨーク・タイムズがOpenAIとMicrosoftを著作権侵害で提訴 - GIGAZINE


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