AIで「ホームレスになるリスクの高い人」を見分けて約800人の支援に成功


アメリカでは住宅価格が高騰しており、ホームレスも増加傾向にあります。アメリカの中でもホームレスの多い地域として知られるカリフォルニア州ロサンゼルスでは、AIを用いて「ホームレスになるリスクの高い個人や世帯」を発見して支援に取り組んでいます。
Predicting and Preventing Homelessness in Los Angeles - California Policy Lab
https://www.capolicylab.org/predicting-preventing-homelessness-la/


Los Angeles is using an AI pilot program to try to predict homelessness
https://www.cnbc.com/2024/04/19/los-angeles-is-using-an-ai-pilot-program-to-try-to-predict-homelessness.html
以下の図は、2023年の州ごとのホームレス数をアメリカ住宅都市開発省がまとめたものです。カリフォルニア州には18万1399人のホームレスが暮らしており、2007年から30.5%増加していました。


ホームレスを減少させるには「住居を失う前段階での支援」が重要です。そこで、カリフォルニア州ロサンゼルス郡の保健当局は「住居を失うリスクの高い人や世帯」を推測できるAIを用いて支援の必要な人を絞り込み、住居を維持するための支援を提供しています。AIを用いた支援は2021年に始まり、2024年までに約800人に支援を提供。そのうち86%は支援終了後も住居を維持することができました。
ロサンゼルス郡の保健当局が用いたAIは、ホームレス問題の解決に取り組むカリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究機関「California Policy Lab」が開発したものです。AIの開発にはロサンゼルス郡の住民の匿名化されたデータを活用したとのこと。California Policy Labのエグゼクティブディレクターを務めるジェイニー・ラウントリー氏によると、AIはロサンゼルス郡に対して無償で提供されており、今後も収益化の予定はないそうです。
AIを用いたホームレス対策はロサンゼルス郡以外にサンタクララ郡やサンディエゴ郡でも検討されています。
なお、California Policy LabはAIの学習に「ロサンゼルス郡の住民の匿名化されたデータ」を用いていますが、CNBCは「匿名化されたデータから個人を特定することは容易」とする研究結果や「郵便番号・生年月日・性別のみでアメリカ人の87%を特定できる」という分析結果を示してプライバシー上の問題点を指摘しています。

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