EUが「iPhoneのNFC決済技術をライバル企業に開放する」というAppleの提案を受け入れるという報道、早ければ5月に調査が終了し高額な罰金を回避できる可能性も


Appleが、欧州連合(EU)の独占禁止法規制当局から承認を得るため、iPhoneやiPadなどのApple製デバイスで非接触型決済(NFC)にアクセスする技術をサードパーティー企業に無料で提供することを申し出たと報じられています。この提案は、最大で世界売上高の10%に相当する高額な罰金を回避するための試みとみられます。
Apple's offer to open up tap-and-go tech to be approved by EU next month, sources say | Reuters
https://www.reuters.com/technology/apples-offer-open-up-tap-and-go-tech-be-approved-by-eu-next-month-sources-say-2024-04-19/
EU to approve Apple's iPhone NFC chip policy changes, will allow competitors to Apple Pay - 9to5Mac
https://9to5mac.com/2024/04/19/apple-pay-eu-nfc-chip-iphone/
iPhoneやApple WatchにはNFCチップが搭載されており、非接触決済が技術的に可能となっています。しかし、Appleはセキュリティを理由に、生体認証技術であるFace IDやTouch IDを利用して本人確認を行う「Apple Pay」のみに非接触決済を認め、他企業のアプリやサービスにはNFCへのアクセスを提供していませんでした。しかし、EUはこれを反競争的だと指摘し、調査を開始しました。
AppleがNFCチップ関連でEUの独占禁止法違反の罪に問われる可能性、Apple Payのような非接触決済が他サービスにも開放か - GIGAZINE


特に、2024年3月から規制が始まったデジタル市場法(DMA)で、Appleは規制対象となる「ゲートキーパー」に指定されており、調査の結果違反が認められれば世界売上高の最大10%という高額な罰金を科せられる可能性があります。
2024年1月、Appleは欧州委員会からの提案に応え、「当社は欧州経済領域のサードパーティー開発者に対し、ユーザーがApple PayやApple Walletとは別に、iOSアプリ内からNFCを行えるオプションを提供することを約束しました」という声明を発表しました。また、Appleは優先的に使う決済アプリのデフォルト設定、Face IDを含めた認証機能へのアクセスなどの追加機能の提供も提案しているそうです。


ロイターによると、欧州委員会は一部条件を修正した上でAppleの提案を受け入れる姿勢を見せているとのこと。欧州委員会は2024年夏までに提案を受け入れることを目指しており、Appleが最終的な技術的詳細を詰める必要はありますが、早ければ5月に受け入れられるとロイターは報じました。

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