「中国で最も有望なCPU」と評されるLoongsonの「3A6000」はどんなCPUなのか?

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中国が脱アメリカを図り独自のCPU製作を進めています。新たに中国企業・Loongsonが開発した「3A6000」というCPUについて、テック系情報サイトのChips and Cheeseが解説しました。
Loongson 3A6000: A Star among Chinese CPUs – Chips and Cheese
https://chipsandcheese.com/2024/03/13/loongson-3a6000-a-star-among-chinese-cpus/

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3A6000はLA664というLoongson製アーキテクチャを採用したシリーズで、2.5 GHz・クアッドコアで動作します。性能としてはAMDの初代Zenアーキテクチャ(以下、Zen 1)に及ぶか及ばないかくらいのもので、多くのCPUパワーを要する7-Zipのファイル圧縮を利用したベンチマークでは、初代Zenを搭載したRyzen 1800X, 4c/8t(4コア8スレッド)にやや劣り、Zen 2のRyzen 3950X, 4c/4tには4c/8tの3A6000でもかないません。
とはいえ3A6000はLoongsonの前モデルに比べて38%もの大幅な性能向上を実現しており、SMTを考慮すると、この向上はさらに大きくなります。3A6000でコアあたり1スレッドをロードした場合は4つのLA664コアが4つのZen 1コアにほぼ相当。ただLA664は2.5GHzで動作しているため、クロックあたりの性能は非常に優れているものの、クロックが低いことからAMDのZen 3に追いつくことはできません。
4K動画のエンコーディングをベンチマークとした場合、LoongsonはZen 1を上回ります。この点についてChips and Cheeseは3A6000は2.5GHzのCPUとしては素晴らしい性能を発揮する」と評価しています。

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先の処理を予測して無駄を減らす「分岐予測」は3A6000も健闘。命令あたりの予測ミスという点ではZen 1と互角で、精度に関しては3A6000はZen 2と互角だとのこと。

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キャッシュについては、Zen 2および3A6000はいずれもクラスタ内の4つのコアで共有される16MBの大容量L3キャッシュを備えています。DRAMレイテンシは104ナノ秒で、Chips and Cheeseいわくまだ素晴らしいとは言えないものの、サイクルカウントでのレイテンシはより高クロックの3950X以下に落ち着いているとのこと。
Chips and Cheeseは「Zen 2と同等の分岐予測を作るのは簡単ではなく、Loongsonのエンジニアは誇りに思うべきです。3A6000は外国製CPUへの依存度を下げようとする中国の努力の一環であり、その点で3A6000は良い前進と言えます。Zen 1は2024年時点でもかなり使えるものなので、中国の消費者は3A6000の性能でも軽い日常的なタスクには問題ないと感じるでしょう。LoongsonにはIntelやAMDのような欧米企業と並ぶ世界的なCPUメーカーになるという第二の目標があるでしょうが、その点ではまだまだ道のりは長いです」と述べました。

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