SNS「Bluesky」のジェイ・グレイバーCEOが「Twitterから独立した理由」「BlueskyとAT Protocolの関係」などを語る


SNS「Bluesky」は、旧Twitterの社内プロジェクトを原点としており、記事作成時点ではTwitterから独立した「Bluesky PBLLC」によって開発が進められています。そんなBluesky PBLLCのジェイ・グレイバーCEOが海外メディアのThe Vergeに対して「Twitterから独立した理由」や「BlueskyとAT Protocolの関係」などを語っています。
Federation is the future of social media, says Bluesky CEO Jay Graber - The Verge
https://www.theverge.com/2024/3/25/24108872/bluesky-ceo-graber-federation-social-media-decoder-interview
◆BlueskyがTwitterから独立するまでの経緯
Blueskyは、2019年にTwitter創業者のジャック・ドーシー氏が中心となって立ち上げた「分散型SNSプロトコルを開発する社内プロジェクト」を源流としています。グレイバー氏はTwitterの社員ではありませんでしたが、独自の分散型SNSプロトコルを開発した経験があったことから「分散型SNSプロトコルの知識を持った人」としてTwitter社外からプロジェクトに参加していました。
プロジェクトチームは社内で「Bluesky」と呼ばれており、Twitter社内ではのちにコミュニティノートとして正式実装される「Birdwatch」と同様に、オープンでクラウドソーシング的な実験的プロジェクトのひとつだったとのこと。Blueskyは当時TwitterのCEOを務めていたドーシー氏が立ち上げたプロジェクトだったという経緯もあり順調に歩みを進めていましたが、グレイバー氏は「ドーシー氏以外の人物がCEOに就任した場合、Blueskyプロジェクトが立ち消えてしまうのではないか」というリスクを感じていたとのこと。この「中央集権システムによって生じるリスク」に危機感を覚えたグレイバー氏はTwitter社内の人々にBlueskyプロジェクトを分社化するように呼びかけました。
分社化の交渉は約6カ月続き、2021年末にはTwitterから独立したBluesky PBLLCという企業が設立されました。ほぼ同じ時期に、ドーシー氏はTwitterのCEOを辞任して新たにパラグ・アグラワル氏がCEOに就任。さらに1年後にはイーロン・マスク氏がTwitterを買収してCEOに就任しました。グレイバー氏は「BlueskyはTwitterとは別の企業として前進し続けられました。もしTwitter内に残っていたらもうプロジェクトは存在していなかったでしょう」と語っています。
Bluesky PBLLCの「PBLLC」は「Public Benefit Limited Liability Company」の略で、直訳すると「公益合同会社」となります。グレイバー氏によるとBluesky PBLLCは株主にお金を配るために利益を追求するのではなく、「オープンな分散型SNSプロトコルを開発する」という使命を達成するためにリソースを投入しているとのこと。ただし、利益を得ることを禁止しているわけではありません。BlueskyプロジェクトがTwitterから独立するまでの流れやBluesky PBLLCの所有者については以下の記事でも詳しくまとめています。
Twitterの引っ越し先候補「Bluesky」を所有しているのは誰か?もしTwitterのように億万長者が買収しても大丈夫なのか? - GIGAZINE


◆BlueskyとAT Protocolの関係
Bluesky PBLLCは2022年5月に分散型SNSプロトコル「Authenticated Data eXperiment(ADX)」の初期テスト版を公開しました。このADXは2022年10月に「AT Protocol」に改名。さらに、AT Protocolのリファレンス実装としてSNS「Bluesky」も同時に発表されました。もともとBluesky PBLLCはプロトコルそのものを主力製品として位置付けており、プロトコルを採用したSNSはユーザーによって開発されることを期待していたとのこと。しかし、Bluesky PBLLCは方針を転換して「AT Protocolでどのようなサービスを作れるか」を示すためにBlueskyを開発することに決めたそうです。
Twitter創業者の立ち上げた分散型SNSプロトコル開発団体が新SNS「Bluesky」を発表 - GIGAZINE


なお、AT Protocolは開発チーム内では「アットプロトコル」や「アットプロト」と呼ばれているとのこと。また、AT Protocolという名称は「Authenticated transfer protocol(認証済み転送プロトコル)」の略称とされているほか、グレイバー氏は「このプロトコルを採用しているアプリやサービスなら、異なるアプリやサービスを利用するユーザーでも『@』を付けたリプライを送るだけで交流できる」というコンセプトの象徴的アイコン「@」を含めているとも説明しています。

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