2024年4月20日前後の「ビットコイン半減期」でマイナーの収入は激減へ、今後はエチオピア・タンザニア・パラグアイ・ウルグアイなどの低コスト国に拠点を移す可能性が高いとの指摘


仮想通貨のビットコインでは、約4年に1度「半減期」と呼ばれる、マイニングによって得られる新規ビットコインの報酬が半分に減少するサイクルが訪れます。2024年4月20日前後にかけて、4度目となる半減期が訪れると考えられており、これを受けてアメリカや中国の仮想通貨マイニング業者が電力コストの低いエチオピアやタンザニアなどの国に拠点を移す可能性が示唆されています。
Crypto: Bitcoin ‘Halving’ Spurs Exodus of Old US Mining Computers Abroad - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2024-03-23/bitcoin-halving-spurs-exodus-of-old-us-mining-computers-abroad


US Bitcoin Miners Move Old Equipment Overseas – Here’s Why | Bitcoin Insider
https://www.bitcoininsider.org/article/244967/us-bitcoin-miners-move-old-equipment-overseas-heres-why
Iceland's PM gives cold shoulder to crypto as miners search worldwide for cheap electricity: Reports | The Block
https://www.theblock.co/post/284326/icelands-pm-gives-cold-shoulder-to-crypto-as-miners-search-worldwide-for-cheap-electricity-reports
Chinese bitcoin miners are flocking to Ethiopia, attracted by cheap energy, ideal climate | South China Morning Post
https://www.scmp.com/tech/tech-trends/article/3251352/chinese-bitcoin-miners-are-flocking-ethiopia-attracted-cheap-energy-ideal-climate
ビットコインの発行数は無限ではなく、約2100万という上限が存在します。そのため、マイニングでもらえる報酬が半分になることで、ネットワークに追加されるビットコインの新規発行枚数が半分に減る「半減期」が4年に1回訪れます。
記事作成時点でマイニング業者は、ネットワークに追加された検証済みブロックごとに6.25BTC(約1010万円)を受け取ることができますが、半減期が訪れるとその量は3.125BTC(約500万円)にまで下落します。半減期はこれまで2012年11月・2016年7月・2020年5月に訪れていて、4回目となる半減期が2024年4月20日前後に訪れると予想されています。
到来する半減期に備えて、マイニング業者は最新かつ最も効率的なテクノロジーにアップグレードすることで半減期の影響を軽減しようとしています。これらのマイニング業者にとって、最も費用のかかる項目は電気料金とのこと。


そこで、複数のマイニング業者がアメリカでは電力効率の低い古いコンピューターをエチオピアやタンザニア、パラグアイ、ウルグアイなどに移転または売却しているそうです。仮想通貨のマイニングを手がけるLuxor Technologyによると、同社がアメリカで使用している約60万台のマイニングリグ「S19」がアフリカや南アメリカの国に移転されたとのこと。
Luxor Technologyは「S19はアメリカで運用するには費用対効果が低いかもしれませんが、アフリカの特定の地域で運用すると、大きな利益を生み出し、コンピューター自体の寿命を伸ばすことが可能になるでしょう」と述べています。
同様の動きは中国でも進んでおり、2012年頃から中国との協力関係にあるエチオピアでは、中国企業が約50億ドル(約7560億円)規模の水力発電用のダム建設に資金提供を実施しました。その結果、中国を拠点とするマイニング業者がエチオピアに集中。実際にエチオピアの国家電力独占企業は21社のマイニング業者と電力供給に関する契約を結んでいますが、そのうち19社が中国企業とのこと。
中国と友好関係にあるエチオピアは世界でもトップクラスで電気料金が安い国であることで知られています。以下のグラフは1キロワットの電力を1時間使用した際に必要なコストを示したもので、エチオピアではわずか0.6セント(約0.9円)であることが確認できます。


一方で発展途上にあるエチオピアでは、国民の半数が電気のない生活を送っていることから、過熱するマイニングブームが問題視されています。
それでも、マイニング企業のSunnySide Digitalのタラス・クリークCEOは「エチオピアはデジタルマイニングのエコシステムにおいて大きな役割を果たしつつあります」と述べています。


対照的に、水力発電と地熱発電が盛んなアイスランドは、これまで世界有数のマイニング国家でしたが、カトリン・ヤコブスドッティル首相は「アイスランドの家庭よりも多くの電力を消費する仮想通貨マイニングを規制したい」との見解を示しています。また、ヤコブスドッティル氏は「アイスランドの食料生産を増やすとともに、再生可能エネルギーを仮想通貨マイニング産業からアイスランドの家庭やその他の産業へと分け与えるという目標があります」と述べています。

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