「ロシアや中国などの外国の敵対勢力から個人情報を保護する法律」が414対0の全会一致で下院を通過、アメリカ版GDPR実現も一歩前進

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事実上のTikTok禁止法案とも言われている法案が、アメリカ議会下院で可決されるなど、国民のデータが外国に流出する懸念に対処する動きが強まっています。2024年3月20日に、アメリカ人の個人情報を中国やロシアなどに販売することを禁止する法案が、全会一致で下院を通過しました。
Rodgers and Pallone Celebrate House Passage of Legislation to Protect Americans’ Data from Foreign Adversaries
https://republicans-energycommerce.house.gov/posts/rodgers-and-pallone-celebrate-house-passage-of-legislation-to-protect-americans-data-from-foreign-adversaries
House passes bill banning sale of US personal data to foreign adversaries - The Verge
https://www.theverge.com/2024/3/20/24106991/house-data-broker-foreign-adversaries-bill-passes
House unanimously passes bill to block data brokers from selling Americans’ info to foreign adversaries
https://therecord.media/house-passes-bill-to-block-data-brokers-from-selling-info-to-foreign-adversaries
今回可決された「外国の敵対者からアメリカ人のデータを保護する法案(H.R.7520)」は、データブローカーが機密データを外国に売り渡す行為の禁止を目的としたもので、より包括的な法律として制定が進められているアメリカデータプライバシー保護法(ADPPA)、いわゆるアメリカ版GDPRを補完する重要法案と位置づけられています。
法律が成立した場合、個人情報を売買する事業者、つまりデータブローカーが敵対的な国家にデータを販売することが禁じられ、違反すると罰則を受けることになります。

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アメリカ議会下院は3月20日に、投票した議員414人全員の賛成票による全会一致でこの法案を可決しました。
法案を提出した下院エネルギー・商業委員会のキャシー・マクモリス・ロジャース委員長とフランク・パローン氏は共同声明で、「本日の圧倒的な投票結果は、データブローカーから個人情報を購入することによって、敵対勢力がアメリカの国家安全保障と個人のプライバシーを損なうことを許さないという明確なメッセージです」とコメントしました。
この法案は、先に下院を通過した「外国の敵対者が管理するアプリケーションがもたらす国家安全保障上の脅威からアメリカ国民を守るための法案(H.R.7521)」、いわゆるTikTok禁止法案とは異なり、特定の企業を名指ししていません。その代わり、外国の敵対勢力として中国、ロシア、北朝鮮、イランとその影響下の事業体が規定されています。
また、売買禁止の対象となる機密データは個人の健康状態、クレジットカードや銀行口座などの金融情報、生体認証データ、位置情報、メールや電話などの通信記録、性的な行為や裸などプライベートなデータ、人種や宗教、さらには軍内部での地位など多岐にわたります。

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法案は今後、上院で審議されることになっており、上院を通過して大統領が署名することで成立します。
ロジャース委員長らは今後の見通しについて「私たちは今日の力強い投票結果に勇気づけられており、この重要な法案とより包括的なプライバシー法案を今議会で成立させる機運の醸成にも力が入ります」と述べました。

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