TSMCが日本での半導体パッケージング工場の建設を検討中との報道


世界最大の半導体メーカーであるTSMCは、日本の熊本やアメリカのアリゾナ州での半導体工場建設計画を進めています。新たに、TSMCが日本国内に半導体製造の後工程を担当する施設の建設を検討していることが海外メディアのロイターによって報じられました。一方で、アメリカではTSMCの工場に関連するサプライチェーンの構築に遅れが生じていることが報じられています。
Exclusive: TSMC considering advanced chip packaging capacity in Japan, sources say | Reuters
https://www.reuters.com/technology/tsmc-considering-advanced-chip-packaging-capacity-japan-sources-say-2024-03-17/
TSMC, Intel suppliers delay U.S. plants on surging costs, labor crunch - Nikkei Asia
https://asia.nikkei.com/Business/Technology/TSMC-Intel-suppliers-delay-U.S.-plants-on-surging-costs-labor-crunch
◆日本で後工程の生産拠点の建設を検討
半導体の製造工程は、シリコンウェハ上に回路を形成する「前工程」と、シリコンウェハを切り分けてチップを組み立てる「後工程」に分かれており、一般的に前工程と後工程は異なる工場で進められます。熊本ではTSMCの第1工場の建設が完了し第2工場の建設計画も始まっていますが、どちらも前工程を担当することが決定されています。
台湾のチップメーカー「TSMC」が日本に第2工場を建設し2027年末までに操業を開始すると発表、総投資額は約3兆円となり第1工場は第4四半期に量産開始予定 - GIGAZINE


by IBM Research
新たにロイターが関係者から入手した情報によると、TSMCは日本で半導体パッケージング施設を建設することを検討しているとのこと。検討は初期段階で、パッケージング施設の規模や建設時期は未決定とされています。
なお、TSMCはつくば市に「TSMCジャパン3DIC研究開発センター」を設立したり、パッケージング技術「3DFabric」を開発したりと後工程の技術開発にも力を入れています。
◆アメリカの半導体サプライチェーンの構築に遅れが生じている
TSMCはアメリカのアリゾナ州でも半導体工場の建設を進めています。アリゾナ州の工場は建設当初は2024年に稼働開始予定だったのですが、2023年7月には人手不足を理由に稼働開始時期を2025年に延期しました。
iPhoneやAIチップ製造を目指すTSMCのアリゾナ工場が「人手不足」を理由に生産開始時期を延期 - GIGAZINE


アリゾナ州ではLCY ChemicalやSolvay、Chang Chun Group、KANTO-PPC、Topco Scientificといった化学メーカーがTSMCの半導体工場に関連する生産拠点の建設を進めています。しかし、Nikkei Asiaが関係者から入手した情報によると、各生産拠点は稼働開始の大幅な延期か規模の縮小を余儀なくされているとのこと。関係者は「アリゾナ州に生産拠点を建設するコストはアジアの4~5倍に達する」「事前の試算よりもコストが数倍に跳ね上がった」と述べています。
また、アリゾナ州ではIntelも半導体工場を建設していますが、関係者によるとIntelの工場建設も事前の予想より遅れているとのことです。

ジャンルで探す