航空会社が否定的なレビューの報復にYouTuberのパスポートをネットにさらし上げ、当局は「個人情報保護法が存在しない」という斜め上の対応

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航空便のレビューで人気のYouTuberであるジョッシュ・ケーヒル氏が、東ティモールの航空会社であるAero Diliの便の機内食で食中毒になったとのレビューを投稿した結果、ケーヒル氏のパスポートが航空会社の社員によってインターネットに無断転載されました。ケーヒル氏は、この件を東ティモールの法執行機関に通報しましたが、当局は東ティモールには個人情報を保護する法律がないので違法ではないと回答しました。
Airline Takes Revenge On YouTuber, Makes Up Lie, Posts Passport Online - One Mile at a Time
https://onemileatatime.com/news/airline-revenge-youtuber-passport/
Airline Takes Revenge After Bad Review, Posts Passenger's Passport Online - View from the Wing
https://viewfromthewing.com/airline-takes-revenge-after-bad-review-posts-passengers-passport-online/
問題の発端は、ケーヒル氏が2023年10月に投稿したAero Diliのレビュー動画です。ケーヒル氏は、2023年9月にバリ島から東ティモールに旅行した際のフライトをレビューし、乗務員は親切で真面目だった一方、チェックインのトラブルで待たされたことや、機内食を食べて食中毒になってしまったことには失望したと話しました。
FOOD POISONED & CHECK-IN DRAMA - EAST TIMOR'S CHAOTIC NATIONAL AIRLINE! - YouTube

これが、ケーヒル氏が食べた機内食です。

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その後、Aero Diliのカントリーマネージャーであるアカシア・モタ氏は、Facebookに「ケーヒル氏がAero Diliを脅迫した」と投稿しました。モタ氏の主張によると、ケーヒル氏はAero Diliに、肯定的なレビューを投稿する代わりに「無料のフライト」「ホテルの宿泊料」「食費」「5万ドル(約70万円)」を提供するよう要求したとのことです。
しかし、モタ氏はケーヒル氏がAero Diliを脅迫しようとした証拠ではなく、ケーヒル氏のパスポートの写真をアップロードしました。モタ氏がどこからケーヒル氏のパスポートの写真を入手したのかは不明ですが、ケーヒル氏はチェックインの時か入国時だと推測しています。

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個人情報をさらされてしまったケーヒル氏は、Aero Diliにそのことを連絡しましたが、Aero Diliは取り合いませんでした。そこで、ケーヒル氏は東ティモールの法執行機関に通報しましたが、当局の回答は「東ティモールにはデータ保護法がないので、航空会社の行為は違法ではなく、パスポートの個人情報をどうするかの権利は航空会社にある」というものでした。
旅行便の情報を扱うニュースブログ・View from the Wingによると、東ティモール政府は2021年に個人情報とプライバシーに関する保護法の法案を作ったものの、この法律は記事作成時点ではまだ施行されていないとのこと。また、Aero Diliは世界の航空業界で構成される国際航空運送協会(IATA)にも加盟していないので、IATAのガイドライン違反にも該当しませんでした。
ケーヒル氏は、この件について語った2024年2月の動画で、「乗客の個人情報の安全が保証されていないので、近日中に運航開始が予定されているAero Diliのシンガポール便の就航を取りやめるよう、シンガポール当局に働きかけてください」と視聴者に呼びかけました。
CRIMINALS! This AIRLINE posted my PASSPORT online! - YouTube

もちろん、約70万人のチャンネル登録者を擁するケーヒル氏が、レビューを盾にしてAero Diliを脅迫した可能性はゼロではありません。旅行特化のニュースサイト・One Mile at a Timeは、「責任者に詰め寄った際のケーヒル氏は高圧的でお世辞にも人当たりがいいとは言えなかったこと」や「ケーヒル氏の動画には脚色のために誇張された部分があること」などを指摘した上で、「『脅迫されたという航空会社の告発は事実無根』だというケーヒル氏の言葉を100%信用します」とコメントしました。
なお、ケーヒル氏は以前にも辛口レビューをしたカタール航空から「否定的なレビューを取り消すなら無料のフライトを手配する」と持ちかけられ、断った結果出入り禁止にされたことがあります。
否定的なレビューをしたYouTuberをカタール航空が出禁に、さらにフライトスタッフも全員クビという衝撃の結末 - GIGAZINE

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