サードパーティーのサーバーやアプリに頼らない完全オフラインのスマートホームを構築した方法とは?

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「家に帰ると自動的に照明がつく」「時間によって照明の色を変える」など、IoTやAIの技術を活用したスマートホーム市場が近年興隆を見せています。一方でスマートホームは「サードパーティーのサーバーに依存している」という問題も抱えており、サーバーが置かれた状況によってはスマートホーム家電が突然使用できなくなることもあります。海外メディア・Android Authorityのカルヴィン・ワンケデ氏が、サードパーティーのサーバーに頼らない、完全にローカルなスマートホームを構築した方法について解説しています。
How I built a fully offline smart home, and why you should too
https://www.androidauthority.com/offline-smart-home-3398608/

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2023年11月にスマートホーム端末メーカーのChamberlainグループが、一部製品に不正利用が認められたとしてサードパーティー製アプリからのアクセスをブロックしたり、2022年4月にはスマートホーム製品を展開するInsteonという企業が突如アプリとサーバーを停止し、ホームページが消滅したりといった事態が起こっています。このような事態が発生すると、アプリで管理していた家電などの設定やスイッチが全て使用不可になってしまうことが問題視されています。
IoT企業が突然「夜逃げ」してアプリとサーバーが停止、照明やセンサーが操作不能に - GIGAZINE

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これらの事態を受けてワンケデ氏は「スマートホームをオフラインで構築すると、企業がサーバーを停止した場合や企業から顧客データが流出するような、プライバシーが侵害される場面から、私たちを守ってくれます」と述べ、ローカルなスマートホームの構築を推進しています。またワンケデ氏によると、スマートホームに対応したコーヒーメーカーや洗濯機のような高額な家電を買わなくても、既存の電化製品をスマートプラグやスマートスイッチに接続するだけで、インターネットに接続して制御する必要がなくなったり、メーカーのエコシステムよりも信頼性を高めることができたりするとのこと。
実際にワンケデ氏が自宅にオフラインのスマートホームを構築した際、オープンソースのホームオートメーションソフトウェアである「Home Assistant」が利用されています。ワンケデ氏はRaspberry Piのような小型コンピューターにHome Assistantをインストールした上で、自身のスマートフォンやPCを用いて家電の制御を行っています。

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また、Home Assistantとデバイスの接続は近距離無線通信規格である「ZigBee」が用いられ、ブランドに依存しない独自のネットワークを構築することが可能になります。
ワンケデ氏が勧めるデバイスの例が以下。
◆ハブ
Raspberry Pi 5またはRaspberry Pi 4にHome Assistantをインストールし、Zigbeeを使用するためのUSBスティックを接続して使用します。
◆スマート電球
ShellyやAthomが販売する、ローカル接続対応のスマート電球や、IKEAのTRÅDFRIシリーズ、Philips Hueなどのスマート電球もおすすめとのこと。
◆スイッチとプラグ
1台約50ドル(約7400円)と比較的高価ですが、InovelliのZigbee対応スイッチをワンケデ氏は推奨しています。また、スマートプラグについてワンケデ氏は、「SonoffやIKEA、Athom、Shellなどのメーカーが数多くの製品を販売しています」と述べています。

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◆センサー
ワンケデ氏は実際にSonoffのセンサーやIKEAのワイヤレス人感センサーを使用しており、「うまく機能しています」と報告しています。
◆ロボット掃除機
スマートホームに対応していない古いロボット掃除機であっても、クラウド代替ソフトウェアである「Valetudo」を掃除機にインストールすることで対応させることが可能です。その際に、Valetudoが該当のロボット掃除機をサポートしているかどうかを確認する必要があるとワンケデ氏は指摘しています。
◆ブラインド
ワンケデ氏によると、IKEAのスマートブラインド製品は、手ごろな価格と優れた互換性から、スマートホームコミュニティにおいて人気が高まっているとのこと。
ワンケデ氏は「インターネットに接続した場合でも、自身のデータを危険にさらすことのない、評判の良いブランドの製品のみをお勧めします」と述べています。

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なお、ワンケデ氏は、スマートホーム規格の「Matter」や通信プロトコル「Thread」ではなくHome AssistantにZigbeeで接続する方式を採用している理由として「Thread互換のデバイスはあまり市場に出回っておらず、MatterやThreadがまだ必要最低限のものしかないからです」と指摘しています。

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